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Kankokutei

アンカーリング余波 3月15日2013年

PGAツアーのティム・フィンチェムコミッショナーは

「アクセンチュア・マッチプレー」の最終日に、

R&AとUSGAが提案している2016年からの

アンカーリング禁止ルールに対し、

同ツアーは反対することを表明しました。

フィンチェム氏は記者達に「PGAツアーとしての基本的な結論は、

アンカーリングの禁止はゴルフ又はPGAツアーにとって

最良の解決策ではないと考えた。

当ツアーのプレーヤー達及び役員会は、

アンカーリングの使用が有利だと結論付けるデータの不足と、

このゲームに使用されてきた40年という時間を考慮し

、これを採用すべきではないとの意見だった。

現在かなり多くのアマチュアがアンカーリングを使用していること、

又、多くのPGAプレーヤーがアンカーリングを使用して

育ってきた事実があり、USGAも多くの試合にそれを認めてきた」と、

その理由を説明しています。

USGAが関係組織に求めていたコメント期間(2/28日期限)が

終わる直前に反対を表明したのです。

 

米国内ゴルフ団体組織、PGA・オブ・アメリカ(コース所属プロ、

ショップ所属プロレッスンプロの団体)及び米国3,258コース及び

1,900人の所有者からなるゴルフコース所有者協会(GCOAA)も、

既にアンカーリング禁止はゴルフ振興のマイナスになるとして

反対の意を表明しています「これ以上用具に制限を加えようとすると、

マチュアはボールを飛ばせ無くなり、ゴルフの楽しさを伝えることが

出来なくなる。ゴルフボールの飛距離を制限したり、

パターのタイプを制限するのは、ゴルフの楽しさをさまたげる」と、

ゴルフ用具に厳しすぎる制限を設けるのは、ゴルフの振興をさまたげるとして、

今後可能性のあるゴルフボール飛距離制限にも反対の構えを見せています。

 

年頭にも述べましたが、高反発規制やウェッジのスピン量規制の時と

同じ様に、今回もアマチュアゴルファーの楽しみを奪う

「改悪ルール変更」でした。

高反発でも、飛距離が出る方がゴルフは楽しいのは当たり前で、

ウェッジはスピンがかかる方が楽しい攻め方ができるものです。

USGAとR&Aは「ゴルフルールは一つであるべきで、

それがゴルフの伝統にとってあるべき姿だ」と繰り返すだけで、

調査という名目で膨大な技術、時間、金をかけ、

ゴルフボールの飛びやスピンを制御しようとしてきたのにも関わらず、

用具を制限することに失敗してきたのも事実です。

プロのゲームで起きる問題を、何故アマチュア組織のUSGAとR&Aが

解決しようとしているのかがいまだに理解できませんが

「ルールの番人になったのだから、何か変えなくては」という、

アマチュア組織の一方的な「思い込みルール改悪」に、

各方面から「NO」が突き付けられたのです。

 

今はまだルールは何も無い状態なのですが、

何もやましいところ無く戦ってきたプロゴルファーが、

コース場でファンから「詐欺師」と呼ばれ、

一部のメディアでも同様に揶揄される状況に陥っています。

2011年に「全米プロ」を制して、ベリーパターでの初の

メジャー優勝者となったキーガン・ブラッドリーは

「これまでにないくらいファンや一部のライターから

“チーター(インチキ野郎)”と呼ばれている。これは本当にタフなことだ。

正直、それで具合が悪くなっているくらい。

なぜ人々がそんなことを言えるのか、

まったく理解できない。レギュラーパターに変える準備はできている。

でも、この話題はあと最低数年は続くだろう。

USGAはこの提案をする前にもっとプレーヤーのことを

考えて欲しかった。僕や他の何人かの選手にとって、

とても難しい状況なのだから」と、苦しい胸中を語っています。

 

アンカーリング禁止のルール改正について、PGAツアーが異議を

表明した主たる理由は、アンカーリングが選手にとって有利だという

実証データが無いということでしたが、K・ブラッドリーは

「まったく驚きはない。フィンチェムもPGAツアーも

つも選手側に立ってくれる。

自分がプレーするツアーが味方になってくれてとても誇らしいし、

気分がいいよ」と語っています。

新ルールの提案直後に27,000人の会員にアンケートを採った際に、

63%が改正反対だったという「PGA of America」も

強い味方になりそうです。

予定では、ヒアリング期間を終えた2013年の春に

最終決定をすることになっていました。

しかし、これだけ強烈な反対意見が出てくると、

果たしてどのような結末で落ち着くのか、

想像するのは難しくなってきました。

 

いずれの結論が出るにせよ、40年以上という長い間

放置してきたアンカーリングを、メジャー優勝者が出た

からといって急に禁止することを決めたことは、

やはり大きな波紋を呼んでいます。

やはりアンカーリングでメジャーを獲ったE・エルスも

「できれば禁止しないで欲しい。

禁止しなければならない何のデータもないんだ。

数字でしっかりしたことを示して説明してくれ」と語気を強める一人です。

カール・ペターソンもアンカーリング禁止の

ゴルフ規則変更案を痛烈に批判しています。

ノースカロライナ州立大学の2年生からベリーパターを使い始め、

以来アンカーリングしてプレーを続けてきただけに

「40年続いてきたものを禁止するのは馬鹿げている。

アンカーリングしてきた俺の16年間はなかったことになるって言うのか?

まるで魔女狩りだ」と怒りをあらわにしています。

 R&AとUSGAのスタンスに首を傾げる選手は多く、

さらにアンカリングしている選手たちはアンカーリングした状態での

パッティング練習に、相当の長い時間を費やしてもいるのです。

 

一方R&Aが管轄する欧州では英国PGA、欧州ツアー、

欧州女子ツアーが賛成の意を表明していることが

明らかになっていますが、ロングパター使用者が

非常に少ないことが理由に挙げられています。

今後この意見を基に更に検討が進められ、

近日中に最終結果が発表されるでしょうが、

相変わらず何も討議していない様子の

JGTOはどうするのでしょうか?

 

USGAはアンカーリング禁止是否問題の他に

「ゴルフボールの飛距離制限」も検討しています。

USGAのテクニカルディレクターの2010年当時の見解は

「過去5年間にわたり、ゴルフボールメーカーの協力の下

実施してきているプロジェクトだ。この間、USGAは様々なレベルの

ゴルファーによる多くのテストを実施してきており、

今後も更に続ける計画だ」というものでしたが、

「飛距離制限テスト」の結果を公表していません。

公表しない理由は「USGAが行っている調査プロジェクトに対して

常に興味が持たれ、我々の調査データが、タイムリーでは無く、

不正確に公表されるのも、ゴルファーやゴルフ業界を含む

USGAの関係組織に誤解や混乱を招く恐れがある」としていますが、

USGAが、現在のボールより約20~25ヤード飛距離が

落ちるように性能を落としたゴルフボールを

テストしているのは事実のようです。

トッププレーヤーによる飛距離は1890年以来ずっと懸念され、

飛距離規制のためにこれまでも多くの問題が残る

ルール改正を行ってきましたが、結局その改正はボールの

飛距離に何も影響を与えていないのです。


トッププレーヤーがツアーで伸ばしてきた、

ドライバーの平均飛距離ですが、アベレージゴルファーは

そんなにボールを遠くへは飛ばせません。実際、この20年、

平均飛距離は200ヤード弱から増えていないのです。

USGAがこのテストに対してトッププロゴルファー

(ゴルフ総人口の0.001%)だけではなく

アベレージゴルファーも含めていることは評価に値しますが、

このかなり広範囲なテストが正しく行われ完了するには

間がかかるでしょうし、大きな被害を被るのはアマチュアゴルファーという

毎度おなじみの決着だけは避けてほしいものです。


ゴルフボールは重量が増すと慣性がつき、風の影響など

を受けにくくなるためよく飛びます。

そのために重量の上限値が1.62オンス(45.93グラム)となっています。

また、ボールのサイズ(直径)は小さいほど空気抵抗が少なく、

風の影響を受けにくくこちらも飛距離に繋がります。

そのため直径が1.68インチ(42.67ミリ)以上と決められているのです。

 

初速に関しては、新素材などの開発によって無制限に

飛距離が伸びるのを防ぐために、決められた条件でショットした時の

キャリー、ランを含めた飛距離に制限があります。

秒速143.8フィート(約43.9m/s)の速度でボールを打ったときに、

飛び出すボールの速度は250フィート/秒(約76.27m/s)以下と

決まっています。

ゴルフボールは、インパクトの衝撃でつぶれた歪みを

元に戻そうとする力で飛び出します。

そのため、ボールの反発力が大きければ初速も速くなるため、

ボールの飛び出し速度を一定の基準内に制限しているのです。

またボールの対称性に対しても規格があります。

金型の繋ぎ目(シーム)を水平と垂直にした2方向から

スイングロボットで打ち比べ、平均値の差はキャリー4.0ヤード以内、

フライトタイム0.4秒以内と定められています。

重量は天秤で測定し、直径は精密に造られた

直径1.680インチのリングゲージを用います。

リングゲージの上に100回、向きを変えてボールを置き、

ボールがそのリングゲージを自分の重みで通過して

落ちた回数が25回未満であれば合格です。

ボールはヘッドスピードに応じて変形し、

その歪みを元に戻そうと反発する力で飛び出します。

当然、硬いボールであればあるほど、

反発力が大きくなり、初速は速くなります。

しかし、硬いボールをつぶす力(ヘッドスピード)がなければ、

逆に飛距離は落ちることになります。

当然自分のヘッドスピードにあったボール選びが必要ですが、

プロと同じボールを使っても、飛距離が伸びるわけではない

ということを認識する必要があります。

 

ボールが打ち出される角度はクラブの番手(ロフト)と

スイング軌道で決まります。

また、ボールの種類や特性によっても差が出ます。

空中に打ち出されたボールは飛ぶ方向と逆方向に

回転(バックスピン)しながら飛んでいきます。

この回転とディンプルの働きによって空気抵抗を減らしながら、

ボールは上へと持ち上げられ飛距離を伸ばします。

しかしルール限度一杯の初速や飛距離を実現したボールの発売後、

なぜ、さらに「飛距離」がアップしたボールが発売されるのでしょうか?

「反発力(初速)や飛距離がアップ」したのなら、

当然、新発売されるボールは規定を超えてしまうはずです。

なぜ、ルール違反にならないのか?その「からくり」は、

実は、ゴルフボールのテスト方法にあるのです。

ボールの初速を計測する場合、計測機械の速度は43.9m/sですが、

その速度で打ち出された初速が77.7m/s以上の速度になっては

いけないとされています。

一方、総合的な飛距離の計測では、

ヘッドスピードは53.6m/sで打った時、

317(+3%)ヤード以上飛んではならないとなっています。

実は、この2つのテスト方法に大きな違いがあるのです。

初速テストは、実際にクラブでボールを打つのではなく、

専用の機械を使って行われています。

この機械は、回転するドラムから、テスト条件の速度になると

棒のような突起が飛び出し、その突起でボールを打つのですが、

このドラムは非常に重い為、ボールを打ち出した反動で

速度が落ちることはありません。

一方、飛距離のテストは、クラブによる実打試験でおこなわれる為、

当然、インパクトの瞬間、 ボールとの衝撃によりヘッドスピードは

減速することになります。

ゴルフボールの飛距離は初速に大きく左右されます。

この挙動の違いによって、ボールが潰れて反発する力が異なり、

打ち出し速度も大きく変わるのです。

通常ヘッドスピードとボール初速は1.5倍弱が

「ミート率が良いインパクト」だといわれますが、

初速テストの場合、ヘッドスピードが43.9m/sの為、

初速が77.7m/sだとすると1.75倍という、

通常、あり得ない最高のインパクトになってしまいます。

つまり、この初速テストは、通常のクラブヘッドでボールを

打ったときの初速とは一致していなのです。

ゴルフボールの実打試験ですが、こちらも抜け穴があり、

均一性を高めることで「飛距離アップ」が可能になります。

たとえば±10ヤードのバラツキがあるボールは、

飛距離の上限から10ヤード手前で止まる性能にしておかないと、

上限を越える非公認ボールになる危険があります。

しかし、ボールの飛距離精度上げることで、

バラツキが±5ヤードであれば、

 上限をマイナス5ヤードに抑えることができます。

結果として5ヤード飛ぶゴルフボールを作ることができるのです。

 

USGAはここに着目しているのでしょうが、

「ルールは一つ」の条件でボールの飛距離を抑える規制より、

アマチュア野球では使用可能な金属バットが

プロ野球では使えないのと同じ様な、初速制限を加えた

「トーナメント専用ボール導入」という決着のつけ方が、

距離延長のコース改造も必要とせず、

不可思議な「ゴルフクラブ規制」より、

アマチュアゴルファーには歓迎されそうに思います。



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