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Kankokutei

イチローと共有できる物 9月1日号

米国男子ツアーのレギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」の最終日。

松山英樹は6バーディ、2ボギーの「66」で回り、通算8アンダーの15位でフィニッシュ。

松山は持ち前の「サンデーバックナイン」の強さを見せつけ来季のシード権獲得を決めました。

前半5番のパー5で、右ラフからの第2打を3番ウッドで右サイドのOBゾーンに打ち込みながらも、

5オン1パットのボギーとピンチをしのぎ、続く6番から2連続バーディを奪取し、

後半もセカンドショットをピンそば1メートルに付けた13番からの2連続バーディなどで、

2つスコアを伸ばし今季わずか7試合の米ツアー出場で、

獲得賞金額をツアーメンバーのランキング105位に相当する77万1640ドルを稼ぎ出し、

10月に開幕する来シーズンの「PGAツアーカード」を手に入れたのです。

 

インタビューでも「やっと明日、日本に帰れます」と話した様に

「全英オープン」からの5連戦でしたが、全試合で予選を通過し、結果を残してきたのです。

疲れからか腰に痛みを覚えた今大会は、決勝ラウンドでの途中棄権すら考えたといいます。

決勝ラウンドの2日間はベタ足でフィニッシュを小さく取るスイングで、

なんとか72ホールを完走したのですが「調整できなかった自分が悪い。

でもその中でこういうプレーができたのはうれしい。どうにかなるんだ、

と思った」と体調の悪い中、手に入れた「PGAツアーカード」には

満足感があふれているように感じました。

 

P・ミケルソン、タイガーと予選同組でプレーした選手が、

それぞれの試合で勝利を収め「この分だと全米プロは予選同組の

J・ダフナーかS・ストリッカーが優勝してしまいそうな松山の勢い」と、

前回のコラムで述べましたが、本当にJ・ダフナーが初メジャーを手にしてしまいました。

好調な選手とのプレーの連続で「今の自分で、ここまでやれるんだという自信はついた。

でも勝つためには、全然、まだまだだな、ということも知りました。課題?体の面、

ショートゲーム、飛距離…言い出したらキリがない」と語りましたが、

松山の凄いところは誰とラウンドしても物おじしないところで、

新しいステージでの戦いにも期待が持てそうです。

 

帰国してからは大事を取って、体の精密検査にも臨む様で、

国内ツアーへの復帰初戦は、早くても9月の「フジサンケイクラシック」になる様です。

10月3日開幕の米国と世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」にも

自力で出場を決めていますが、キャプテンのニック・プライスから

サブキャプテンに指名されたのは丸山茂樹でした。

「SHIGEKIは私の決断を大いに助けてくれるはず。

チームには韓国人2人、日本人2人といった具合にアジア人が4人は入る可能性がある。

彼らにどうペアを組ませるか、よりよい理解があるはずだ、

SHIGEKIはいつも笑顔で物腰も柔らかい。冗談好きで話好き。

それに熱いものを秘めている」と」と選出理由を語っていました。

丸山は過去に選手として1998年、2000年大会に出場しています。

特に98年大会ではダブルス、シングルスマッチを通じて5戦全勝をマーク。

世界選抜の勝利に貢献し、最終優秀選手に選ばれた経験を持っています。

「プレジデンツカップ」出場には大きな意味がありますが、

それは世界のトップ選手との「絆」を構築できることに尽きます。

世界選抜だけでなく、戦う相手の米国選抜のメンバーとも親交を深めることができ

「仲間意識」が芽生え、松山がPGAツアーに参戦したときに、有利に働くのは間違いありません。

 

そして「プレジデンツカップ」の翌週には、米ツアーの新シーズンが

「フライズドットコムオープン」でスタートします。

松山の次なる挑戦もここから始まる予定で、新しい一歩への準備も始めなくてはいけません。

一方、今季から米ツアー本格参戦を果たした石川は、

最終日に3つスコアを伸ばして順位を上げたものの、通算5アンダーの26位タイ。

賞金ランキング(149位)、フェデックスポイント(141位)ともにシード圏内の125位以内に届かず、

レギュラーシーズンでのシード権確保はなりませんでした。

石川は8月29日から第1戦が始まる下部ツアー選手との入れ替え戦

「ウェブドットコムツアー・ファイナルズ」の計4試合に向かうことになりました。

同シリーズには、フェデックスポイント126位~200位までの75人と、

下部ツアーの上位75人、計150名が出場し、そこで、25位以内

(下部ツアーの賞金ランク25位以内の選手は除く)に入れば、

来季の米ツアーのシード権が獲得できるという厳しい戦いです。

 

しかし石川は「ウィンダム選手権」に臨む前から、入れ替え戦をしっかりと見据えて、

その準備を整えているようでした。「レギュラーシーズンの最終戦とはいえ、

試合に挑む気持ちは他の試合と変わりません。シード権を得られていないことで、

焦りがない、ということはありませんが、試合になれば、そうしたことは気にならないし、

逆に追い込まれた状況にあるほうが、集中力が上がるのかな、と。

先週の全米プロ選手権がまさにそうで、すごく集中してプレーすることができました。

今年は5月のバイロンネルソン選手権でトップ10に入りましたけど、

そのときよりもいいゴルフができたように感じました。自分の心の中がクリーンになって、

やっていることは間違っていないんだな、ということも実感できた。

そういう意味では、非常に価値のある試合でした。そのゴルフを今週も続けたい。

現実的に考えて、自分はこのあと、入れ替え戦の4試合にいくと思っている。

その覚悟がある。大事なことは、そこで安定した成績を残すこと。そのうえで、

来年の米ツアーの出場権を得る、ということが重要。そのためにも、

今やっているゴルフを変わらずに続けて、その流れを

次の試合につなげていきたい」と語っていました。

 

石川は「ウィンダム選手権」で4日間を通してマネジメントにおいて成長を感じさせました。

シード権獲得のために、一発逆転を狙うような無謀なゴルフではなく、

自身ができることを着実にこなした結果「全体的にはいいプレーをしていたと思うけど、

会心のショットがフェアウェーでディポットに入ってしまったり、

泥がついたり、ついていなかった。それでも、集中力が切れることなく、

スコアも崩れることなく、最後まで安定したプレーができた。

いいラウンドだったと思います」と出遅れた初日を冷静に振り返り、

2日目も我慢のプレーを続けて、通算1アンダーの62位タイと

ぎりぎりながら予選通過を果たしたのです。

「このコースは、ピンを直接狙っていくというよりは、

横を狙っていかざるを得ないところが多いので、必然的に曲がるラインが増えていく。

そこで、5~6mくらいの距離があると、微妙なタッチが求められて難しい。

そういうのが、2、3回入ってくれればスコアも違ったと思う。

だけど、パー5ではしっかりとバーディを取れているので、

ロングゲームとショートゲームのバランスはすごくいいと思います」と

2日目のプレー後語っていましたが、雨が降った3日目は、

多くの選手がスコアを崩す中、石川はひとつスコアを伸ばして、通算2アンダーでした。

「出だしでダブルボギーを叩いて、自分に対して悔しさがあった。

でも、その悔しさを、そのまま集中力に移行することができて、

そのあと盛り返すことができた」順位は31位タイまで上昇したのです。

 

そして最終日、「ドライバーも、アイアンも、パターも心地よい感じで打てている」という石川は、

4連続バーディを奪うなどして、トータル5アンダーまでスコアを伸ばし、

26位タイと順位も上げて、今大会のテーマにしていた、

入れ替え戦に向けての手応えをしっかりとつかんだ様子でした。

「いろいろと調整したいことはまだまだたくさんありますが、

手応えは、自分の中ですごくつかめた。もちろん、そのレベルが高いことは、

僕もよくわかっていますが、今の自分はすごくいい状態にある。

振り返れば、シーズンの序盤から中盤戦の頃は、目を覆いたくなるような酷い結果が続いて、

まだ米ツアーで戦うレベルに達していなかった。

本当に実力不足でした。でも万が一、これからシーズンの初戦が始まるとして、

今の自分のレベルであれば、『シードは取れるだろうな』と感じている。

上のツアーでも戦える自信があるので、なんとしても、

来年の出場権を手にしたい」と力強く語っていました。

 

昨年の秋口くらいから痛めていた腰の状態もよくなり、

やっと満足のいくだけの練習量がこなせるようになったことを

「腰の痛みで昨年の中盤あたりから、パッティングはずっと練習不足でした。

ショットの練習もできないほど、悪い状態でした。当時は、

そんな体の異変に気づけなかった自分が腹立たしいというか、

自己管理ができていない自分に怒っていました。おかげで、今年の序盤、中盤戦の頃は、

自分のゴルフ人生の中でも、すごくつらい日々になってしまいました。

3月くらいが特に酷くて、痛みが出ると、スイングがおかしくなったりして、

練習にならなかった。自分は、ボールを打ってなんぼの選手。

たくさん練習をして、泥臭くやってきたのに、それができなくて、

なかなかリズムがつかめなかったですね。

でも今は、パット練習も2時間くらいできるようになって、

自分のスタイルがやっと戻ってきた。今は、次に試合があるのが楽しみだし、

幸せだな、と思います」と、肉体的にも、精神的にも、技術的にも、

もっとも充実した状態にあるようです。入れ替え戦で結果を出して、

松山とともに世界の舞台で活躍して欲しいですね。

 

イチローが日米通産4,000本安打を達成しました。

海外で長く活躍するのは大変なことだと思います。

チームメイトのD・ジーターはイチローのすごさを「彼は一日たりとも休まないんだ。

恐らくそれが最もすごいことだと思う。オフの日でも球場に来て、投げたり打ったりしている。

自己管理が徹底しているのもすごいことで、いつもストレッチしているし、

球場に来た瞬間から球場を去るまで、バッティングサークルの中でも、

とにかく自分のケアをしっかりしている」と語っています。

イチローは「夢や目標を達成するには1つしか方法がない。

小さなことを積み重ねること」と、イチローなりの「野球道」を語り

「準備というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、

そのために考え得るすべてのことをこなしていく。しっかりと準備もしていないのに、

目標を語る資格はない」とも語っていますが、石川も同じ気持ちで取り組んでいるのでしょう。

 

世界のトッププレーヤーは「ライバルより上に」という強い意識の中で

も結果を残すものですが「宿命」ととらえているのでしょう。

石川は松山とのラウンドでその意識が強すぎ、

集中力の甘さを露呈させてしまいましたが、

松山と練習を一緒にしていくことで相乗効果も期待できます。

日本のメディアの悪い習慣は「話題になるのなら」と、

大した実績もない選手が、たまたまいいパフォーマンスをすると、

実績十分の人を「超えた」と報道するのですが、

イチローが日本で残した記録を破りそうな選手が出てくると、

「イチロー超え」なんてことなるのです。

本当の意味でイチローを超える選手が現れる可能性は極めて低いはずです。

最高のパフォーマンスを見せるために準備をして

目標を達成してきたイチローに失礼な話です。

同じように松山が「石川を超えた」的な報道が目立ちますが、

石川の記録を全部塗り替えて、初めて「超えた」と称されるのではないでしょうか

。同学年の石川の陰に隠れて、変な脚光を浴びなかったことも

松山にとってはプラスだったと思います。日本の賞金王になって、

日本ツアーで10勝を挙げるという、石川の実績に並ぶ瞬間は近いうちに訪れるはずです。

今の松山の成績は間違いなく立派ですが、イ

チローと同じでこれを長年続けていくしかないのです。 

 

松山がクラブを手にしたのは4歳のころで、父の松山幹男さんの練習に付いて行って

「僕もボールが打ちたい」と言い出し、中古の9番アイアンを短く切って与えたのが

始まりだったそうです。おもちゃを与えても、友達にあげてしまうほど、

松山は執着心のない子供だった様ですが、ゴルフだけはまったく飽きず、

原っぱで黙々とボールを打って遊んでいたといいます。

松山の家庭はそれほど裕福ではなく、練習場へも滅多に連れて行くことはなかったのですが、

ゴルフに夢中になっている息子のために、幹男さんは「自分もゴルフがもっとうまくなって、

この子に上の世界を見せてあげよう」と決心をしたということです。

ゴルフ場の会員になり、月例や研修会に出るようになった幹男さんは、

必ず息子を連れて行き、父のプレーが終わるまで、

松山はアプローチの練習をして待っていたそうです。

やがて幹男さんの腕前は、クラブレベルから四国レベル、

さらに52歳にして「日本アマチュア選手」に初出場するまでなったのです。

松山が小学4年のとき、幹男さんは「中四国オープン」に出場した際、

息子をキャディとして帯同しています。「日本アマチュア選手権」のときもキャディは

中学3年の松山でしたが、この大会には石川は選手として出場していました。

息子を帯同キャディにした理由を幹男さんは「強い選手がどんなプレーをするのか

を息子に間近で見せたかった。どんなタイミングでアドレスに入るのか。

それが乱れるのはどんなときなのか。私が英樹に一番見せたかったのは、

技術よりメンタルです。それが試合の中でどう変わるかとか。

呼吸がどう変わるかとかルーティーンの変化を感じてもらいたかった」と語っています。

 

環境に不満を漏らすことなく、決勝ラウンドで上位争いに加わっても、

松山らしさを表現出来ているのは、幹男さんの「教育の賜物」なのでしょう。

自分の目から入ってくる情報や、肌に触れる感覚や感触によって、

自分の経験と感性を存分に生かすプレーは魅力的ですが、

自分のゴルフにかかわりのないことは、すべて「遮断する能力」は石川より上の様で、

余計なことに神経を使うことなく、自分のゴルフに徹することができています。

終盤のホールでスコアを伸ばせるのは、ひとつでもいいスコア、

ひとつでもいい順位で上がりたいという闘争本能の表れですが、

勝利に執着しているからこそ、次のステージでも大きな可能性を感じるのです。  

 

私の大好きなイチローの言葉です

「バットの木は、自然が何十年も掛けて育てています。

僕のバットは、この自然の木から手作りで作られています。

グローブも手作りの製品です。

一度バットを投げた時、非常に嫌な気持ちになりました。

自然を大切にし、作ってくれた人の気持ちを考えて、

僕はバットを投げることも、地面に叩きつけることもしません。

プロとして道具を大事に扱うのは当然のことです」

イチローの人柄を感じる言葉ですが、

皆さんも自分のクラブを大切に扱うと、プレー中にきっといいことが起こりますよ。 



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