オリンピック強化予算
ゴルフがオリンピック競技として採用されていないのは何故でしょう。
古い話ですが1900年のパリ大会、1904年のセントルイス大会では五輪競技になっており、米国が圧倒的に強かったようです。
しかしながら、現在ではオリンピック種目から外されています。
オリンピック競技への採用はIOCが総会で決定しオリンピック競技として採用される基準はオリンピック憲章に定められていますが、その規定は「夏季オリン ピックの競技は、男子では4大陸75カ国以上、女子では3大陸40カ国以上で広く行われている競技のみ、冬季オリンピックの競技は、3大陸25カ国以上で 広く行われている競技のみ」 となっています。
以上の基準を満たしながらオリンピック競技になっていない有力競技としてはラグビー(110カ国)ゴルフ(97カ国)空手(169カ国)スカッシュ(118カ国)ローラースケート(80カ国)の5競技があります。
競技の採用は単純に国内競技団体の数によるものではなく、実質的な普及度、また当該団体の普及に対する意欲、また競技についての支配力が国内団体にあるの か(プロとアマの対立等の問題であり、ひいてはIOCによるコントロールが及ぶかという問題)という点が検討されるそうです。
ゴルフは世界アマチュアゴルフ評議会(WAGC)が各国のプロゴルフツアーに対して権限がなくプロゴルファーの出場を確保できないことが不採用の大きな一因とされています。
もしロンドンオリンピックでゴルフが採用されても、団体として常に世界と戦う準備をしていない日本チームの上位進出は難しいでしょう。
北京五輪日本選手団の福田富昭団長は「強い選手を五輪直前に集めてちょっと練習すれば勝てるなんて甘いものではない。1年以上前から五輪チームを組織し、合宿をして連帯感を持たないと勝てない」と星野ジャパンを批判しました。
日本野球連盟の松田昌士会長も「あれだけの惨敗をして感想も何もない。優勝だと思っていた。どうしてこうなったのか。まことに残念」と述べています。
ルールやストライクゾーンの違いが敗因と報じられたことについては「どこも同じ条件。言い訳をしてもらいたくない。負けてもひきょうな日本人になっては困る」と厳しいコメントでした。
福田団長は総括会見で「選手は大変よく戦ってくれた。特に、北島康介、レスリング、ソフトボールの連日の激闘を制した金メダルは、多くの国民に感動を与え た。五輪は国と国との戦いに匹敵する。国策として強化しなければ難しい。(他国が)国のレベルで取り組んでいるのが分かった。中国は大変な支援を受け、韓 国もナショナルトレーニングセンターの施設を毎年、充実させています。英国(次回ロンドン五輪開催国)はこの4年間で、競技団体に470億円が使われた。 日本オリンピック委員会がもらっている強化費は22億円。比べものにならない。もし2012年を東京でやることになれば、ロンドンで(金メダル数で)4、 5位につけないと、3位に食い込めない。思い切った策を政府がとらない限り、だめだ」と語りました。
福田団長は1965年にレスリング全日本選手権と世界選手権(フリー・バンタム級)で優勝。現在、日本レスリング協会会長、国際レスリング連盟副会長。JOCでは常務理事、また選手強化本部本部長、ナショナルトレーニングセンター委員会委員長も務めています。
また、ユニマット社長で経営者としての手腕も確かな人物です。
オリンピック前のインタビューでは「トップアスリートたちというのは、人より抜きん出た何かを持っているんです。それが運動能力なのか、専門技術なのか、 体力づくりの方法論なのか。あるいは行動力や情報収集能力、礼儀正しさなのかは一人ひとり違います。一番いいところが何なのかを、ちゃんと見つけ出して、 自覚しなければいけない。それを意識してさらに磨いて、競技をやめたあとに、その何かで社会貢献ができるというのが理想だと思うんです。選手時代に海外に パイプやつながりをつくっておいてもらい、いざという時に力を発揮できる人がいたらという思いもあります。競技団体の、国外組織である、アジア連盟や国際 連盟、IOCの組織に入って、日本に不利なルールを決められたり、不利な政治的作用が働かないように活動してくれる人も必要です」と語っていますが大賛成 ですね。
北京五輪は、国家主導の強化策で躍進する国々が目立ちました。中国は、金メダル数が前回の32個から51個へ急増し、米国を抜いて初の1位に。外国人指導者を招へいする等の強化策が実りました。
2012年にロンドン五輪を迎える英国も、金9個の10位から19個の4位に躍進。これに対し、日本の金メダル9個は全体の8位。
今年1月にナショナルトレーニングセンター(NTC)が完成して初の五輪でしたが、過去最多タイだったアテネ五輪の16個を大きく下回り、日本オリンピック委員会(JOC)が目標に掲げた「二桁」に届きませんでした。
北京オリンピック用の強化費を比べて下さい。中国480億円・金メダル51個(今回開催国)、米国165億円・金メダル36個、英国118億円・金メダル 19個(次回開催国)、 韓国597億円・金メダル13個(今年は特別に+63億円で計660億円)、日本40億円・金メダル9個。とても2016年に立候補している国の予算とは 思えません。韓国とは比較するのも恥ずかしい差ですね。
かつてロシアがソビエトといい、東欧諸国の多くが社会主義国だったころ、こうした国のトップ選手は「ステートアマ」と呼ばれていました。それは、アマチュ アでありながら、練習する環境や生活を国が提供したり、保証したりして、プロ選手のように競技に専念できる環境があり強かったのです。その「ステートア マ」たちのトレーニング拠点が、国が運営するNTCでした。
ナショナルトレーニングセンター長でもある福田団長の真剣な取り組みが「2012チームジャパン」を大きく変えてくれるように思います。
選手の育成と同時に指導者の育成を福田団長は「ジュニアからの一貫指導を可能にするためには、高度で専門的な技能・能力を持った指導者の存在は不可欠で す。JOCナショナルコーチアカデミー事業では、こうしたトップレベルの指導者を育成するため、徹底的に「コーチ学」を学んでもらいます。ただ、ここでい う「コーチ学」とは、単に指導技術を学ぶことを指すのではありません。選手たちを引っ張っていくリーダーとしての資質も備えてほしいし、人を見る目、選手 の長短所を見抜く目も養ってほしい。医学や生理学、ドーピングの知識、プレゼンテーションスキルや国際感覚、組織のマネジメント能力など、世界で戦うため に必要な幅広い知識と技術も当然、身につけなければなりません。指導者の育成なくして、選手の強化はあり得ないのです」と語っています。
日本のマスコミは選手にもコーチにも「貧乏+美談=ハングリー精神」をいまだに追い求める傾向があります。選手を育てるコーチが、人並みの生活もできないような国から「強い選手」が育つはずがありません。
コーチ、選手がともに将来に不安なく競技に専念できるように改革を進めて欲しいものです。
目下、スポーツ関連の年間予算は190億円弱。そのうちJOC関連は22億円です。一方、同じ文部科学省の管轄である芸術関連の予算は1,000億円を超えています。この差は大き過ぎると思います。
今年からやっと始まったアスリートを支える福田団長の新しい試みが、4年後・8年後のオリンピックで結果を残してくれると信じて応援しましょう。


