グルーブに関する新規則
R&Aはクラブフェース・グルーブに関する新規則を8月5日に発表しました。その内容は
「将来ラフからのプレーをより厳しくすることにより、正確性に対するメリットを強化するゴルフクラブ規則の修正を決定した。このクラブフェース・グルーブ(溝)に関する新ルールは、R&AとUSGA間の徹底的共同調査プロジェクトの最終結果である。
この調査は、近代的グルーブ形状が、プレーヤーがフェアウェイでかけることが出来るのと、ほとんど同様のスピンをラフからのショットで生み出すことを可能 にし、その結果、ティーショットの正確性の価値を下げるという事を示している。このルール修正は、フェアウェイからのショットとラフからのショット間のス ピンの違いを、明確にするだろう。
この新しいルールは、現在のグルーブに関する制限を増やし、グルーブの体積とグルーブエッジの鋭さを制限することにより、全てのクラブ(ドライバーとパ ターを除く)に影響を与えることになるだろう。本質的に、より大きなグルーブ体積は、車のタイヤトレッドと同様に、水分や草など物質を排出する能力を持っ ている。同時により鋭いグルーブエッジは、破片がはさまったとしても、クラブとボールの接触を容易にする。
これら二つの規則は、25度以上のロフトを持つクラブ(一般的に標準の5番アイアン以上)に適用され、それより小さなロフトのクラブにはグルーブ体積制限のみが適用される。
このルールは、2010年1月1日以降に製造される全てのクラブに適用され、この日以前に製造されたクラブで、現在のルールに適合するものは最低2024 年まで、ゴルフルールに適合するものとされる。この新規則は2010年1月1日よりトッププロレベルの競技条件として適用されることを意図しており、トッ プアマチュアレベル及び他のプロ競技には2014年1月1日より適用されることになる。」と説明しています。
クラブフェースの規制強化に対し、どのような影響があると思うか?との読者からの質問に対し、有名米国ゴルフ用具評論家、フランク・トーマス氏が自己のホームページで応えた内容を紹介します。
「この規制強化は次の理由から殆どのゴルファーにとって重要なことだ。この変更ルールは、2010年1月1日よりメジャー競技を含むPGAツアー、 LPGA、チャンピオンズツアーなどに効力を発し、主要アマチュア競技及び選手権競技には2014年1月から適用される。そして2010年1月1日以降製 造される全てのクラブが影響を受けることになる。そして、残り全ての我々ゴルファー(全ゴルファー人口の約99.5%)には、(もし2010年以降新しい クラブを買わなかった場合)2024年1月1日からの適用となり、USGAはこの結論を2020年に再度見直すことを示唆している。・・・ということは、 我々は今使っているウェッジが磨り減ってしまわない限り使い続けることが出来ることを意味する。このことは最低14年間、そして多分永久に、我々は二つの ルール(一つはエリートプレーヤー用、一つは残りのゴルファー用)が出来たことになる。このことは2002年、USGAとR&Aが共同声明で発表 した「ゴルフには一つだけのルールが望ましい」という原則と矛盾する。このダブルスタンダードは、他のルール、例えばエリートプレーヤーが使うボールを分 ける、などの変更も誘発する可能性がある。二重ルールの全体概念は、USGAがエリートのためだけでなく、ゴルファーの大部分のためのルールを作るように 考え直さないかぎり、多分、ゴルフ人口の99.5%を占める我々が、ほんの一部のスーパースターの能力により不利益を被るよりは良い結論かも知れない。多 くのゴルファーが、一握りのプレーヤーにより起こされた問題で影響を受けるのは本当に情けないことだ。グルーブ規制に対するもっと良い選択肢は、トーナメ ントのラフを伸ばすことやメジャーなコースのセットアップを変えることではないだろうか。」と語っています。
あちらを立てればこちらが立たずがゆえの「ダブルスタンダード」で、わかりにくく、突っ込みどころ満載の「決着の落としどころ」になってしまったようです。
クラブばかり規制が強化され、ボールには何の規制もないのは何故でしょうか?
私は高反発規制の時も、ボール性能向上による飛距離アップの方がCORより影響が大きいと感じていました。最初から結論として平均飛距離を伸ばしたのは反 発係数だと結論付けて、ロボットや実際のゴルファーを使って反発係数(COR)の高いドライバーの飛距離テストなどの科学的なテストをせず、机上の計算で USGAが規制のルールを作ったと批判しました。今回もボールによってスピン量が大きく違うことが考慮されないのは何故でしょうか。
帝王ジャック・ニクラウスが「このままではパワーゴルフが主流になる」と危惧し1958年に開発したケイマンボールの飛距離は、ドライバーで通常のボール の5割程度でした。カリブ海のグランドケイマン島のゴルフコースで使用されたことから“ケイマンゴルフ”と呼ばれました。凸型ディンプルが抵抗をうけて失 速しやすいことを利用し、島などの狭いゴルフ場で、ドライバーでも飛距離を出さずに気軽にゴルフを楽しむためのボールとして製品化されたのです。ボールの 重量は普通のゴルフボールの約半分で約26g、大きさは直径約4.2cmでした。ケイマンゴルフ場は、日本国内にも数カ所あったはずです。1974年全英 オープンがR&A公認のスモールボールからUSGA公認のラージボールに変更になりました。日本では同年太平洋マスターズがラージボール限定とな り、1977年全試合ラージボール限定になって以来、大きなボールのルール変更はありません。
今思えば「ダブルスタンダート」撤廃以上に、スポンサーであるボールメーカーの圧力による統一の臭いがしますね。R&Aは英国メーカーに配慮したのか10年後の1988年にスモールボール廃止を決定、1990年にやっと使用禁止にしました。
日本のボールメーカーはかなりの金額を設備に投資することになり、実際にアメリカ製のボールが日本のマーケットに流通しだしたのもこの頃からでした。
ビッグスポンサーであるボールメーカーの主力商品であるボールの規制は、ゴルフ業界ではタブーになっているのでしょうか。
フランク・トーマス氏の持論では、COR(SLE=高反発規制)やMOI(慣性モーメント規制)など、これまでUSGAやR&Aが行ってきたゴル フ用具規制の際も、一貫して「エリートプレーヤーのパフォーマンスを抑えるために、一般ゴルファーが影響を受けるような用具ルール改訂はナンセンス」と主 張しています。
「エリートプレーヤーと一般ゴルファーの用具ルールを分け、ダブルスタンダードにするのもナンセンス」で「コースのセットアップや使用クラブ本数制限」に方向性を求めるべきとしています。
現在販売されているボーケイデザイン・ハイスピンミルド、キャロウェイのマックダディーグルーブ、クリーブランドのジップグルーブのようなモデルは、2010年1月1日をもって製造中止になります。グルーブだけを強調したウェッジ販売競争は幕を下ろすことになります。
ルール改正のたびに適合、非適合を話題に、新製品を供給して販売を伸ばす大手メーカーと、大手メーカーがスポンサーのUSGA ・R&Aの関係を皆さんはどう思いますか?


