コストダウンの産物
今回はクラブを作っている工場のことについてお話をしたいと思います、大手メーカーが持っている工場は「ボール工場だけ」 と言っても差し支えないと思います、現実にシャフトを自社で作っていたのは本間ゴルフだけだと思います、某釣具メーカーの腕のいい職人をヘッドハンティン グして開発、製品化したのです。シャフトは釣具メーカーの「釣竿」の開発力とカーボンシートを巻く職人の技術力があってはじめて「良いシャフト」が作れた のです。しかしヘッドは大同特殊鋼に依頼していたはずです、シャフトはシャフト屋さんに、ヘッドはヘッド屋さんに注文して組み立てを日本の組み立て屋さん にお願いするというOEMクラブ作りがはじまったわけです。
日米開戦の1941年にスチールシャフトの硬度をX,S,R,A,Lと規定が出来てから、シャフトの軽量化が始まったのが1966年にシェークスピア社がグラスファイバー製シャフトを作り、また同年アルミニュームシャフトの製造が始まってからです。
軽いほうが良いことは分っていたが耐久性と技術面の問題で製品にならなかったのです。
日本ではオリンピック釣具を合併したマミヤ光学が1973年に国内で初めてカーボングラスファイバー製のシャフトの開発、商品化に成功しました、アメリカ に進出した当時ジャパンバッシングの逆風のため仕方なく社名をUST(United Sports Technologies)としたそうです。マスターズでJ,Mオラザバル選手が優勝、USオープンでJ,フィューリク選手が優勝した黄色いシャフトはあ まりにも有名ですが日本の会社だとはあまり知られていませんでした。
2,3年前にミズノが京都の組み紐を作る理論でシャフトを自社工場内で作り発売し始めましたが、以前はOEMに頼っている会社ばかりでした、ダンロップは フジクラ社製、ブリジストンはグラファイトデザイン社製という状態で、一番大事なはずのシャフトにメーカーはコストを掛けることをしませんでした、良い シャフトを挿せば価格が上がり売りにくくなるからです、アイアンセットを例に取ると以前はダイナミックゴールドとライフルがついているモデルが多かったの ですが、ライフルの原価が高いためNSプロの登場と共に切り替わりました、また以前はどこのメーカーもカーボン用とスチール用の重量の違う2種類の同じモ デルのヘッドを作っていました、シャフトの重さで組みあがったときのバランスが変わるため、同じ長さに組むためにはヘッド重量を変える必要があったので す。ところが一つのヘッドで済ませるために、カーボン装着モデルのほうがスチール装着モデルより長くなっているメーカーがあります、カーボンを使う方は年 配の方で、身長も低い方が多く正確性を求められるアイアンの場合、普通は短く組まなくてはいけないのですが、メーカーのコストダウンの都合で、長く振りに くいものを買わされているわけです。
10本セットだったものを8本セットや6本セットにして割安感を出したりしているのも「ごまかし」のひとつの手法、今までの日本のアイアン作りを支えてき た、世界に誇れる日本の伝統工芸品ともいえる「軟鉄鍛造アイアン」もコストが合わないため現在作っているメーカーは一社もありません、職人が削りだすアイ アンヘッドは、使い手のどんな細かい注文にも対応が出来るヘッドです、いままでメーカーのためにヘッドを作り続けてきた職人技を守り、次の世代に伝えてい く義務がメーカーはあると思います。
しかし最近は売れ筋の商品の価格帯にこだわり、売値を先に決めて物作りをはじめるところが多くコストダウンのため「鍛造アイアン」まで中国OEMとなって いるようです、「高品質、低価格」などはじめから無理な話で、莫大な宣伝費をかけ雑誌との「協力関係」でとりあえず売ってしまう、売れ行きが悪いと中古 ショップに流してニューモデルに取り掛かかるのです。
現在のゴルフ業界の体質と実態は信頼できるものではなく、一般に販売されているクラブを使う場合、自分にとって「快適な気分にさせてくれる」クラブスペックとメーカーのコンセプトが一致したクラブを探すべきです。
それがたとえ3年前のモデルであっても、信頼できるクラブが一番です。


