ゴルフ界の経済危機
ボルボ社(スウェーデン)がスポンサーから撤退したことで、長年タイCCで行われてきたアジアンツアー最終戦「ボルボマスターズ」が中止となりました。
ボルボ社はアジアンツアー・ウェブサイト上の声明で「現在の経済環境、現在アジアゴルフを取り囲む不安定な環境、そして現在のタイに於ける社会的不安、そ の全てが要因だ」と話しています。世界的経済不況は、ゴルフを含むスポーツイベントに対する企業スポンサーシップを崩壊させており、2008年度スケ ジュールに名前を連ねていた「Emaar-MGF インドマスターズ」、「BMWアジアオープン」、「フィリピンオープン」、「バンコック航空オープン」、「タイPGA選手権」は、中止または延期となって います(インドマスターズとBMWアジアオープンは欧州ツアーとの共催)
Raimon Land社がスポンサーで開催される予定だった「Jaidee・ Invitational」も無期限に延期されました。賞金総額50万ドルのこの大会は、4/30日から5/3日に、パタヤのサイアム・カントリークラブ で開催されることになっていたのですが。タイ国内の経済情勢の悪化と政情不安が原因でRaimon Land社が開催を断念したのです。
「Jaidee・ Invitational」はタイ人プロゴルファーでRaimon Land社所属のトンチャイ・ジェイディをホストに開催される予定でした。ロイヤルトロフィーでも全勝と活躍したトンチャイ・ジェイディは、アジアンツ アー12勝とタイ人プロゴルファーの中ではナンバーワンの強豪でご存知の方も多いと思います。2004年にタイ人として初めて欧州男子ツアー「マレーシ ア・オープン」に優勝し、今年も欧州ツアーで2勝しています。
トンチャイ・ジャイディは今年3月1日にインドネシア、バリ島のニュー・クタGCで最終日が行われた、欧州ツアー第12戦「インドネシア・オープン」で通算12アンダーで逃げ切り優勝を果たしています。
さらに4月26日が最終日の欧州ツアー第19戦「バランタイン選手権」(韓国・済州島にあるピンクスGCで開催)トンチャイ・ジェイディが、S-H.カン (韓国)、ゴンサロ・フェルナンデスカスタノ(スペイン)とのプレーオフを制し、今年2勝目を手にしています。4位タイには強豪アーニー・エルス(南アフ リカ)らが入っていました。トンチャイ・ジェイディはこの2勝で世界ランキングも50位前後にランクアップしています。
何故韓国で「バランタイン選手権」が開催されたかというと、近年韓国ではナイトクラブ等でウイスキーの消費量が増えています。もともと焼酎もストレートで 飲むお国柄で、ウイスキーをショットグラスに注ぎ、一気でよく飲まされたものです。私が韓国に行きだしたころはシーバス・リーガルがウイスキーの代名詞で したが、バブル気味の景気とともに、バランタインの17年や30年がステータスシンボルとして飲まれるようになっていったのです。ゲージ・デザインのパ ターを販売する際に、パター+バランタイン30年をセットにして300万ウォン(当時約30万円)で販売している会社もありました。自殺した盧武鉉(ノ・ ムヒョン)前大統領は焼酎しか飲めなかった弁護士時代から一変し、大統領になってからはバランタイン30年を飲んでいると新聞でたたかれたことがあるほど です。バランタインの輸入元が販売促進のためにトーナメントを開催したのでしょう。
ボルボ社がいう「アジアゴルフを取り囲む不安定な環境」とは、オーストラレイジアン、韓国、中国の各国ツアーに支持されて今年発足したワンアジア・スー パーシリーズと従来のアジアンツアーの対立を指しているようです。アジアンツアーとワンアジア・スーパーシリーズの関係者は4/8日、オーガスタナショナ ルで行われた国際ゴルフ連盟(IGF)の会議に、両者の現状について報告しました。いずれの公認組織がアジアのトーナメントをコントロールするかについ て、この両団体の論議は継続しています。
アジアンツアーの会長、Kyi Hla Han氏は、3月末タイ、ホアヒンで開催されたブラックマウンテンマスターズにおいて、同組織の会議を行った際に、ワンアジア・スーパーシリーズと欧州男 子ツアー共催の「ボルボ中国オープン」に公式許可無しにアジアンツアーのメンバーが出場した場合は、5,000ドルの罰金と2009年シーズン中のメン バー資格を一時停止するという方針を伝えました。(アジアツアーとヨーロッパツアーの二つのライセンスを持つ者、そして中国の選手については、許可されま した)
もう一つのイベント、5月7日から10日に予定されていた「パインバレー北京オープン」は、いつの間にかキャンセルされていました。昨年、アジアンツアー と日本ツアーの共催として鳴り物入りではじまった「パインバレー北京オープン」は、今年はワンアジア・スーパーシリーズの第二戦として開催される予定でし た。JGTOによれば、「大会主催者のフォアピングループから、米ツアーの『ザ・プレイヤーズ選手権』と同週開催のため、日程を延期したいとの連絡を受 け、これを受諾することにしたのです」ということですが、同週開催は以前からわかっていたことだけに、本当の延期理由は何でしょうか?
これまでのところHan氏(アジアンツアー会長)は、アジアンツアーのプレーヤーにワンアジアと共に行動することを認めておらず、「もし彼ら(ワンアジ ア)が(独自に)新しいスポンサーを見つけ来るのであれば、トーナメントは成立するかも知れないが、彼らは単に我々から取り上げようとしている」と対決姿 勢を強めています。もともと合意がされないままに見切り発車していたワンアジアツアーの発足は、経済不況によるアジアンツアーのスポンサー離れにより、更 に溝が深まっているようです。
日本の男子ツアーも賞金総額の減額が相次いでいます。「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」1億5000万円→1億3000万円、「フジサンケイクラシック」 1億5000万円→1億1000万円、「ANAオープン」1億3000万円→1億1000万円、「キヤノンオープン」2億円→1億5000万円、「ザ・ チャンピオンシップby LEXUS」2億円→1億5000万円、「三井住友VISA太平洋マスターズ」2億円→1億5000万円。上記の6試合に加え て、JGTOの特別協力大会の「アジアパシフィックオープンゴルフ選手権・パナソニックオープン」も2億円→1億5000万円になっています。
これにより、今季男子ツアーの賞金総額は当初発表の37億1000万円から2億8000万円の減額で、計34億3000万円(7・5%減)となり「1億円大会」が3試合ほど消えた金額に相当します。「石川遼効果」がなければさらに悲惨なことになっていたでしょう。
アメリカでは1983年に始まったスキンズゲームの2009年開催延期が発表されました。
この大会を支えてきたESPNやIMGメディアが、このインディアンウェルズで行われているイベントの延期を発表したもので、2010年の再開が計画され ています。スキンズゲームはアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウス、ゲーリー・プレーヤーが参加して始まりました。その後、昨年までその年を代表す るプレーヤーで争われ、前例のない巨額な賞金を争うイベントに発展してきていました。昨年はK・J・チョイが6スキンを獲得し415,000ドルを獲得、 スティーブン・エイムズを下してタイトルを獲得しましたが、他にフィル・ミケルソン、ロコ・メディエイトも参加していました。
経済危機はゴルフ界にも大きく影響を及ぼしてきています。


