タイガー引退説
左ひざの靱帯(じんたい)を治す手術を受けるため、タイガー・ウッズ(米国)が今季の残り試合をすべて欠場することになり ました。タイガーは4月15日に左ひざの軟骨部分や靱帯の手術を受け、復帰戦となった全米オープンで19ホールのプレーオフの末に優勝。左膝の痛みをこら えながら91ホールを戦い抜いたことは素晴らしいことです。
どれほどの痛さだったのか?それはタイガー本人にしか分からないことです。
敗れたロコ・メディエイトはカメラの前やギャラリーの前ではとても陽気な態度で好感が持てました。同年代の中年ゴルファーはロッコに勝って欲しいと応援していたと思います。
2年前のマスターズ最終日、前半で首位に立ったロコ。持病の腰痛が最終日の朝に悪化し、ドクターの処置を受けてラウンドに臨んだものの、9番ホールで激痛に襲われ、そこから先はどうにもならなくなり80を叩いて36位に終ったのです。
天国から地獄への屈辱感と情けなさを、嫌というほど思い知らされたメジャーだったはずです。今回は彼にメジャー勝利の味を噛み締めてほしいと応援していま したが、惜しくも敗れてしまいました。試合後のインタビューで「私のすべて持っているものを出せました。すべてです。タイガーは最後でしっかり決めてきま した。凄いと思います。何回かミスパットはありました。9番は読み違いで、そのあと流れが変わりました。15番でパットを入れた後は勝てると思いました。 ここまでトーナメントで優勝したことはありましたが、このような大きな舞台ではありません。タイガーが相手でも、世界中のみんなが見ている中でも自分のプ レーができたと思います。私自身学んだことは、あきらめてはいけないということです。これまで何回も挫折した事もありましたが、カムバックをして成功しま した。今回は世界トップの選手をやっつけるチャンスでしたが、少し届かなかったようです。しかし彼は、少し私のことを怖がってくれたと思います。最後に彼 は「いい戦いだった」と話してくれて、私にとって少し気持ちが和らぎました。」と語りました。
勝ったタイガーは「この試合がこれまでの「greatest」だと思います。いろいろな出来事がありましたが、実際のところどのようにして優勝できたのか がわからないほどです。長い一週間でした。自分自身を疑うときもありました。たくさんの問題を乗り越えて、91ホール消化してこの場に立つことができまし た。 今回の優勝と一番初めのメジャー(1997年マスターズ)が印象に1番残ります。手術のためマスターズ以来、18ホールを歩いてプレーしたのが(今年の全 米オープンの)第1ラウンドまでありませんでしたから、本当にどんな試合になるかわかりませんでした。ロコは本当にいい人です。私がツアー1年目のときか ら信じられないぐらい良くしてくれて、私にとってとてもいい友人です。忘れてはいけないのが、ここ数年体調を崩していて背中を痛めていたんです。ガッツの あるパフォーマンスだったと思います。私に一日中プレッシャーをかけていました。一週間いいプレーを続けていましたし、今日は本当にいい友人との戦いでし た。膝の状態はこれ以上プレーできる感じはありません。一つ言えることは、この全体の雰囲気のおかげでプレーを続けることができたのです。たくさんの人々 が声援を送ってくれました。そんな人の前で途中棄権をするわけにはいきませんでした。」と語っています。
タイガーの再手術は4月の内視鏡手術より規模の大きなものになるようです。昨年末から靭帯を痛め、全米オープン前には2箇所の疲労骨折まで伴っていたというのですから驚きです。今、タイガー引退説がアメリカのゴルフ界で浮上しています。
体の左サイドはインパクトからフォローにかけて、体全体を支える重要な役割を担っています。タイガーのスイングは強靭な腹筋と背筋で上体の浮き上がりを押 さえ、左ひざを伸ばしながらインパクトを迎えます。バックスイングで沈み込み、インパクトでジャンプするような動きでヘッドスピードを上げ、豪快なショッ トを打っていたのです。
当然左膝に負担のかかるスイングだった訳で、手術後同じスイングが出来るかは難しい問題です。それでもメジャーに勝てるだけの力は残るでしょう。
しかし、それは他の選手たちと横一線ぐらいの力にしかならないかもしれません。
「王者タイガー」は、そんな姿をファンに見せたくないと考えるのではないでしょうか。
一番気になるのは、どうしてタイガーは今回の全米オープンで、あそこまで無理を押して戦い続けたのかという点です。無理を続けたことで、さらに悪化し、とり返しがつかないところまで行ってしまうかもしれないという危惧はあったはずです。
それでも戦い続けたのはこれが「最後のメジャー・最後の試合」と考えていたからなのかもしれません。引退への花道をメジャー勝利で飾りたいと願うのは当然でしょう。
さらに気になるのは、タイガーが今回の全米オープンを「The greatest」と表現したことです。これまでは常に「great」だったのに、今回は「greatest」だったのです。これは何を示唆しているので しょうか?そう考えると、どうしても「引退」の2文字が浮上してきてしまいます。
アニカ・ソレンスタムは、今シーズンいっぱいでツアーから引退すると宣言しました。自分のプレーが出来なくなって、落ちて去っていくよりも、元女王としての最後の意地とプライドを見せてから去ろうと決意したのではないでしょうか。
アニカとタイガーは以前からお互いを認め合う大の仲良しです。何か運命的なものを感じるのは私だけでしょうか。「王者タイガー」のまま引退となると、ゴルフ界に与える衝撃は多大なものとなるでしょう。


