プレショットルーティーン
テレビ中継では時間の都合で、プロがショットを打つ前の準備行動を完全に映してはくれません、そのためプレショットルーティーンの重要性を考える方は少ないようです。
ゴルフはひとつのシステム的な行動としてとらえるべきで、スイングのメカニカルな部分の練習だけで期待した結果が得られるかというとそうではありません。
良いショットを引き出すには準備行動に十分な注意を払う必要があります、なぜならばショットの前の行動、立ち振る舞いを一定にすると、その行動に同調してショットに必要な「注意・思考」や「判断・決断」さらに「実行」の流れが引き出されやすくなります。
ゴルフ界の帝王、ジャックニクラウスのプレショットルーティーンはボールのライと足元の状態を確認してから後ろに下がりターゲットラインと落下地点に目線 を何度も這わせることから始まります、次にボールの高さとスピン、つまり弾道イメージを固めてボールの20~30cm先にフェースを合わせるポイントを決 める。そのポイントから目線をそらさずボールに近づきクラブフェースをターゲットラインに合わせてアドレスに入り、20~30cm先そして5ヤード先の ターゲットラインまで目線を這わせてボールに戻す。この目線の動きを4回繰り返します、次に15ヤードほどのラインに目線を送るのですが、これを3回繰り 返し最後に5ヤード先に目線だけ送り、その直後にあごを少し右に引きバックスイングを始動します。重要なことはどんな場面でも、たとえ30ヤードのアプ ローチショットの場合でも同じ手順を踏んでいることです。
日本のプロゴルファーでは青木功プロがスイングに入る前、シャツの左袖の部分をちょっとつまみあげる動作をしています、これは決断をして動き出すときに体 に送るサインなのです、マスターズチャンピオンのラリーマイズは「その週によって変えることはあるけれど、スイングに入る前に必ずひとつ何かサインのよう なものを体に送るようにしている、帽子のツバを触るとか、ズボンの上から太ももをポンと叩くとか、僕の場合それによってグットショットを打つため回路のス イッチがオンになるのです」と語っていました。
他のスポーツでも「静から動へ移行する回路のスイッチをオンにする」動作が見られます、テニスのサーブを打つ前やバスケットボールのフリースローを投げる 前なども同じ準備動作から体に何かサインを送り、スイッチをオンにして動き出すほうが結果は安定することを選手たちは知っています。
「止まっているボールを打つなんて簡単だと思ったんですが」という方が多いのですが、ボールが止まっているからこそゴルフは難しいのです、テニスの場合は 連続で打ち返す練習を繰り返すことで相手の打つボールが予測でき、飛んでくるボールに体が自然に反応してくるようになるものです。しかしサーブを打つこと はゴルフと同じで自分からアクションを起こさなければならない動きです。しかしゴルフとの決定的な違いはテニスの場合ファーストサーブが入らなくてもセカ ンドサーブがあり、ネットインなら打ち直しができダブルフォルトで始めてポイントを失うのですが、ゴルフの打ち直しには罰打が付き物でそれだけ大きなプ レッシャーがかかります。
自分から動き出すとき失敗のもとは雑念に伴う集中力の欠如です、集中力を妨げる要因は肉体的疲労や、突然の大声や同伴プレーヤーからのよけいなアドバイス などの外的雑音と外から与えられる外的プレッシャー、厄介なことに誰もプレッシャーをかけてないのに勝手に自分で自分にかける内的プレッシャーがあげられ ます。
肉体的疲労に関しては普段からの体力維持のための努力が必要ですが、一番簡単なのは歩くことでしょう。残りの心理的な要因に関しては、あえてプレッシャー のかかった状況を自分に課し練習場でスイングすることで、心の中に免疫のようなものを作り慣れることです。たとえば雑音の対処法はヘッドフォンをつけて音 楽を聴きながら打ってみる、外的プレッシャーに慣れるにはミスするたびに一緒に練習場に行っている友人や家族に罰金を払うというプレッシャーのかかる状況 で打つというのがあります。韓国で子供たちにこのことを教えた時、面白がって自分たちで新しいゲームを作り楽しんでいました。内的プレッシャーに慣れるに は練習場の一番目立つ席、特に練習場シングルさんの隣で周囲の目に影響されることなく自分のスイングができるようにしていくと良いでしょう、練習場は技術 を磨くだけではなく心理面を強化する場所でもあるのです。
しかしくれぐれも準備動作があまり長すぎて石のように固まり、同伴プレーヤーに嫌われることのないようにしてください。


