ホンダLPGAタイランド
米国女子ツアー開幕戦「ホンダPTT LPGAタイランド」がサイアムCCで開催されました。
昨年の大会は、3位タイからスタートした宮里藍が、最終日に怒涛のバーディラッシュで「63」をマークし6打差を大逆転してツアー2勝目を挙げました。この開幕戦から2戦連勝となった宮里が、好調の波に乗りシーズン5勝と大きく飛躍した大会です。
昨年メジャー2勝の台湾のヤニ・ツェンが、前週開催された欧州女子ツアー第2戦「ANZ RACVレディースマスターズ」を通算24アンダーで優勝、開幕 戦に続き2週連続優勝を果たして参戦してきました。ヤニ・ツェンの今季初戦は1月に、地元台湾で行われたアジアン女子ツアー第2戦の「日立クラシック」で したが、2位に3打差をつけて優勝しています。5位から2位と上がって来ていた「ロレックス世界ランキング」でも、韓国の申智愛を抜いて初めて「世界ナン バーワン」となっており、初日はポーラ・クリーマーのラウンドでした。
07年の大会を制したのが、昨年も3日目を終えて2位に5打差をつける通算18アンダーで独走したスーザン・ペターセンでした。 07年は通算21アンダーで優勝しており、このコースの計8ラウンドでトータル41アンダー(1ラウンド平均67,25ストローク)という
驚異的なスコアをマークしていました。初日は宮里藍とのラウンドで私も観戦に行きました。宮里はコースを得意にしているS・ペターセンに引っ張ってもらえそうに思いましたが1番バーディの後、2番でバンカーから脱出できずにダブルボギーを叩き後退してしまいます。
S・ペターセンと宮里藍を比較すると完全に頭一つ以上の身長差がありました。それ以上にS・ペターセンの後姿は、完全に鍛えられた「男の背中」でした。この「男の背中」に、宮里は去年勝ったのかと思うと、本当に凄いことだと感心させられました。
最終一組前のミッシェル・ウィの練習を見てから、宮里藍の組には10番パー5の3打目から合流しました。前の組の「新女王」ヤニ・ツェンは、ここも2オンしてイーグル逃しのバーディでしたが、ティショットはP・クリーマーをキャリーで超えていました。
P・クリーマーもフェアウェー右からの3打目を2mに寄せバーディでした。宮里藍はフェアウェー左目からの3打目でした。ここからは一緒に観戦していた生 徒さんへの解説です。「左からは左足下がりと、バンカーの傾斜で止め難いです、オーバーしなければいいけど」と言うとピン左横に落ちたボールは、やはり止 まらずカップ奥への2段グリーンの傾斜で大きくオーバーしてしまいました。
「このピンポジションでは3打目は右から打たないと難しい、S・ペターセンは右からなので止まります」と言うとスピンの利いたアプローチでベタピンにつけました。宮里は何とか2パットでしたが、ショットのポジショニングから悪い流れを感じました。
11番のティショットは狙いどうりで右バンカーの手前に運び、セカンドもナイスボールでした。ピンそばかと思いましたが拍手がなく、行ってみるとわずかにエッジにオーバーしていました。そこから上手く寄せたのですが1,5mの難しいパーパットを残します。
S・ペターセンは手前10mにオンしていましたが、ファーストパットは3m近くショートしてしまいます。明らかに強かったパーパットはカップに跳びはねて入りましたが、びっくりしたように宮里と目を合わせ、お互いに笑っていました。
宮里も上手く決め、互いにパーでホールアウト「S・ペターセンはこれで良くなりそう、宮里はまだ流れが来ていないようですね」と解説した次の12番パー3 ではペターソンは左にオーバーし、宮里は右手前にショートしてボールが戻ってくるのが見えましたが、我々は14番パー4のグリーン奥で待つことにしまし た。
宮里はボギーだったようで悪い流れのまま13番はパーで14番に来ました。14番のピンポジションは2段グリーンの右上の狭い場所でした。左目から打った宮里はフェード気味に段をかけ上げようとしたのでしょうが、届かずグリーンエッジに止まってしまいます。
S・ペターセンは練習でもたまに出ていたプッシュアウトで、アゴが高い右手前のバンカーに入れてしまいます。宮里の方が遠そうに見えましたが、S・ペター センが先に打ちました。このショットはギリギリを狙いすぎて一発で出ません。しかし気を取り直して打ったショットは完璧で、見事にカップに消えてナイス パー。待たされた宮里はファーストパットを3mオーバー、返しはわずかに入らず、悔しそうに15番へ。待たずに先に打っていたら展開も変わっていたでしょ う。
「次のホールでも落とすと、一番難しい16番が心配です」その15番は、通常のレディースティからの短いパー4になっていました。普段はクリークの手前に 刻むホールですが、レディースティからなのでFWでもクリークを超えていきます。ナイスパーを拾ったS・ペターセンは、左目で少し木がかかるラインで、距 離はないものの左からの傾斜に落とす、難しいセカンドが残りました。
前のホールの失敗からか、宮里は右目のベストポジョンに「あそこからなら奥に落としても戻るので突っ込んでくるでしょうが、S・ペターセンは、スピンがほ どけて奥に行きやすいはず」と解説すると宮里は80センチにベタピン、S・ペターセンは止まらず戻ったものの奥3mオンしました。「流れを引き寄せたS・ ペターセンは入れます」と言うと、ド真ん中からナイスバーディを決めます。宮里も決めてやっとバーディがきましたが、難しい16番パー3のティグラウンド でまた待たされてしまいます。左奥に外したS・ペターセンを見て、宮里は手前のあごの高いバンカーへ打ち込んでしまいます。結局バーディの後のボギーで流 れを引き寄せられません。
続く17番は右下の段にカップが切ってありました。セカンドは14番と同じように左フェアウェーからの宮里と、狙いやすい右目からのS・ペターセン「左か らは手前のバンカーからの下り傾斜が強く落ちどころによっては右にこぼれるか、奥のバンカーに入ると大変です。右からのS・ペターセンのほうがラインを出 しやすいので寄りそうです」と解説。
宮里の2打目は左からの風で戻りながらきましたが、あごの高いバンカーを越えた、グリーンの一番強い下り傾斜に落ちて止まりませんでした。バンカーには入 らなかったもののグリーンオーバーしてしまいます。S・ペターセンがベタピンにナイスオンすると「言った通りになりますね」と皆さん驚いたようでした。 「宮里は外した場所がラッキーでした、これを入れたら最終もバーディの可能性が高いですよ」と、しかしアプローチはカップをかすめたものの入らずパーでし た。
前が詰まり、先回りして18番パー5の2打地点に行くと、ヤニ・ツェンが狙い済ましたようなナイスボールで2オンの「イーグルチャンス」に乗せました。グ リーン横で見ていると宮里のティショットは、左ラフからフェアウェーに出たところで2オンは完全に無理な位置でした。S・ペターセンはヤニ・ツェンの20 ヤード後方から2オンを狙っていましたが、宮里は先に80ヤード地点の比較的平なところまで運んできました。
S・ペターセンの2打目は手前のエプロンにショートしてしまいます。「宮里の方が寄せやすいですよ、S・ペターセンは落しどころが難しい」これも予想通り で、宮里はベタピンでバーディ確定。S・ペターセンは奥の傾斜で戻しますが、戻りすぎて危うくグリーンからこぼれ落ちそうでした。しかしこれを決めて二人 ともバーディフィニッシュで初日を終了。「本当に全部、言った通りになりますね、最高の解説でした」とのことでした。
コースマネージメントがスコアを決めるサイアムCCでは、行ってはいけないところから、無理に攻めると大たたきします。最難関ホールの17番では最終日に ドラマが起こりました。最終日は左の段の上でしたが、こちらも馬の背になっています。サイアムをプレーした方は経験があると思いますが、手前にショートす ると戻ってしまい、カップをオーバーすると奥に転がり落ちてしまうピンポジションでした。1打差でトップのヤニ・ツェンを追うキム・インキョンが2打目を ショートして戻り3・4・5打目も傾斜で戻されてしまいます。6打目は転がしたものグリーンオーバーしてしまい、7打目が届かずグリーンエッジ、8打目が 3mオーバーで、9打目を何とか決めるという「頭が真っ白」状態で3位に落ちてしまいました。
ヤニ・ツェンとP・クリーマーは止まらないと上の段は狙わず、下の段からの強烈な上りのパットを2パットで楽々パーを拾い、ミッシェル・ウィは左に外し寄せきれずボギーでした。
ポジショニングが勝敗を決める「サイアムCC・オールドコース」の戦いは、絶好調の世界ランク1位、ヤニ・ツェンが3週連続優勝を成し遂げ、今期4戦4勝 という圧倒的な強さで「新女王」を証明して見せました。今年はヤニ・ツェンとミッシェル・ウィが強そうです。日本勢も早く一勝して欲しいですね。


