ボール規制
USGAがゴルフボールに制限を加えることを検討しているようです。既に今年は3人のプレーヤー、スティーブ・ストリッ カー(ジョンディアクラシック)、カール・ペターソン(RBCカナダオープン)、J・B・ホルムズ(グリーンブライアークラシック)が60というスコアを マークしていますし、ロス・フィッシャーはアイリッシュオープンの三日目61を出し優勝しています。
17歳の少年、ボビー・ワイアットはアラバマ州の高校選手権で57を出し話題になりました。トレバー・マーフィーはネイションワイドのプロアマで58を出 し、この5月、日本の中日クラウンズの最終ラウンドでは石川遼が58を出し大逆転優勝を飾りました。20歳のローリー・マキロイも、PGAツアー、クエイ ルホローの最終日を62で回り、初のPGAツアー優勝を飾りました。
今年世界中で起きているこのロースコアの狂い咲きに、今年からグルーブ新ルールを適用したばかりの世界のツアーは、ゴルフボールについての規則見直しを考えなくてはいけなくなったようです。
私は高反発規制やグルーブ規制の際に、「アマチュアゴルファーの楽しみを奪う、ナンセンスな規制で、トーナメント用のボールを開発すれば簡単なこと」と述 べてきました。ドライバーは少しでも遠くに、ウェッジはより多くのスピンを望むアマチュアゴルファーのために、試行錯誤を繰り返して、クラブ開発をしてき た側の人間としては、納得のいかないルール改悪でした。
USGAのテクニカルディレクター、ディック・ラギー氏は「2005年4月、我々はボールメーカーに、様々なテストを実施するための飛距離を落としたゴル フボールのプロトタイプ試作を依頼した」と話しています。「良く知られているゴルフボールメーカーの殆どは、我々にプロトタイプボールを提供してくれ、 USGAは過去数年にわたってプロや様々なレベルのアマチュアによる様々な種類のテストを実施し評価している」とのこと。
ゴルフ業界にとってはビックスポンサーのボールメーカー、新しいボールを作るには莫大な費用がかかるのも事実でしょう。実際のところ、ボールメーカーはク ラブメーカーでもあります。「去年のモデルより10ヤード飛ぶようになりました」と所属プロに新製品のコマーシャルをさせていますが、実際はクラブとボー ルとのマッチングの方が影響が大きいはずです。ボールメーカーの機嫌を損ねないように、クラブばかり規制してきましたが、ついにボールの初速制限等の規制 に乗り出しそうです。
全米プロ最終日は大混戦と大波乱でした。バッバ・ワトソンとのプレーオフを制し、優勝したのはドイツのマーティン・カイマーでしたが、そのプレーオフは本 当なら2人ではなく3人で戦うはずでした。トップ6にいたのは初メジャータイトルに挑む、平均年齢25.8歳の若者達でした。最後は25歳のマーティン・ カイマーと26歳のダスティン・ジョンソンと31歳のバッバ・ワトソンの戦いに絞られたのです。
全米オープで3打差の単独首位で最終日を迎えながら「82」と崩れ、8位に甘んじたD・ジョンソンはぺブルビーチでの大崩れという悲劇を振り返り、「忘れ るのに時間はかからなかった。人生のミスもゴルフのミスも、ミスの幅はだんだん小さくなっているのだから」と前向きな気持ちで全米プロに臨みました。しか し、ゴルフは時としてとても残酷な悲劇をもたらします。17番のバーディで単独首位に立ち、優勝に一番近づいていたジョンソンの最終18番ホール。ドライ バーショットを右に曲げ、ロープ外のギャラリーの中に打ち込んだジョンソンの第1打は砂地の上に止まりました。観衆に踏み固められ、ペットボトルやゴミま で散乱している状態でしたが、その砂地は、クラブのソールが許されないバンカーだったのです。D・ジョンソンは「そこがバンカーだなんてことは、ただの1 度も僕の脳裏をよぎらなかった」と、当たり前のようにソールをして打ったD・ジョンソンの第2打が、ホールアウト後問題になりました。
D・ジョンソンはパーパットを外し、最終ホールをボギーとしましたが、3人のプレーオフだと思った矢先、競技委員に呼び止められました。「あなたは、あそ このバンカーでソール(クラブを地面につけること)しましたよね?」スコアカード提出所で、ビデオの映像も見せられたD・ジョンソンは認めるしかなかった ようですが、2打罰であると告げられたそのとき、D・ジョンソンはまたしても立ち直れないぐらい大きなショックを受けたはずです。「バンカーでソールした よねってルール委員に言われ、どのバンカーのことですかって聞き返した」と答えています。結局、2打罰で18番のスコアがボギーからトリプルボギーに変 わったジョンソンは、突入するはずだったプレーオフへの道を閉ざされ、全米オープンに続いて全米プロでも、目前のメジャー優勝を逃すことになってしまいま した。
「ウイスリングストレイツ」には1000個以上のバンカーが点在することは、D・ジョンソンも知っていたはずです。その場所がソールをしても良いのかを事 前に競技委員に確認すべきでした。実を言いうと、「ウイスリングストレイツ」で開催された04年大会のときも、同じような悲劇が起こっています。3日目、 スチュワート・アップルビーがロープ外のバンカーをバンカーと思わず、砂の上にあったルースインペディメントを拾い上げた上でソールし、4打罰を受けたの です。そのため今大会の開催前、ロープ外のバンカーを「バンカーではないという扱いにすべきでは?」という意見もありました。しかし、1つのバンカーの一 部はソールできない通常のバンカー扱いで、一部はソールOKという複雑すぎる状況が発生してしまうので「ロープ内外を問わず、どんな状況であろうとも、バ ンカーとして作られている砂地は、すべてソールが許されない通常のバンカーと定める」ことが決まっていたのです。
メジャーの最終戦「全米プロゴルフ選手権」の最終日、優勝がかかるあの状況、プレーオフがかかるあの状況で、切羽詰まったD・ジョンソンは、冷静な判断が まったくできなくなっていたのは当たり前の話です。周囲にオフィシャルがいて注意してあげれば、結末は変わっていたはずですが、「人が多すぎてたどり着け なかった」とは情けない話しです。
イアン・ポールターは自身のツイッターで「ダスティンに同情。ショッキングなルール。1000以上のバンカーがあり、レーキが100しかない。意味不明。 ダスティン、お前はプレーオフに進むべきだった」と述べています。またニック・ワトニーは「ファンがバンカーとみなされているところに選手と一緒に入って いるのは初めて見た。ちょっとおかしな状況だと思う」と語り、4年前4ペナを食らったスチュアート・アップルビーは「パトロンが選手のプレーを見るために 何百という無意味なバンカーの中を歩かなければいけないコースは手を加えるべきだと思う。パトロンがバンカーに平気で足を踏み入れているプロの試合は世界 中のどこでも見たことがない」と語っています。
5名も出場していた日本人選手は、予選で全員姿を消しました。日本人選手全員に常に好成績を望んだりはしませんが、まったく通用しない予選落ちというのは 情けない話しです。今季の4大メジャーには、数多くの日本人選手が出場しましたが、上位フィニッシュはありませんでした。今回は悪天候のため、練習ラウン ドで全ホールを回れなかったようですが、明らかな準備不足ではないでしょうか?タイガーは雨の中でも練習を止めませんでした。ショーン・オヘア、ハン ター・メイハン、カミロ・ビジェガスという人気選手との練習ラウンドでしたが、何かを掴もうと、必死でずぶ濡れの練習をこなしたタイガーでした。
石川は他の日本選手とジョインする形で10番からスタートし、13番で豪雨となりました。
日本人組は全員この時点で練習をとりやめ引き上げてしまったようです。「ウイスリングストレイツ」という難コースを、結局1度も18ホールを通したラウンドをしないまま本番に臨むとは、始まる前から予選落ちという結末は見えていました。


