メーカーによるクラブフィッティング
ウェッジはロフトが多いためにソールから重心までの垂直高さが低くなりやすく、低重心になります。
ところがウェッジに限って、低重心は良い事ではありません。
重心が低いということは逆にいえば、重心よりも上の面積が広く、そこに当たりやすくなってしまうのですが、ヘッドがボールの下をくぐりやすく、上のほうに当たるとスピンも不安定で、距離のコントロールが難しくなってしまいます。
ウェッジの重心を高くするには主に2つの方法があって、ひとつはフェースの高さを高くすることです。ブリヂストンの「ジャンボMTNIIIプロモデル」に代表されるジャンボ尾崎プロのウェッジなどはその典型でした。
もう一つはネックを太く長くすることで、最近ではこの方法が主流になっています。
重心距離についていえば、フェースを開いて打つか、閉じて打つかと関係があります。
フェースを開いて打つということは、シャフト軸に対して重心距離を短くして使うわけだから、重心距離が長めのほうが振りやすく、 フェースを開かずにネック側を通して打つ場合、重心距離が短いほうが振りやすくなるのです。
このことは、たとえばジャンボモデルと最近の主流であるティアドロップ型などを比べてみても明らかです。
ジャンボ尾崎プロは比較的スクェアに打ちますが、これに対してティアドロップ型を使うプロたちはフェースを開いて打つタイプが圧倒的に多く、使っているウェッジの重心距離も、「クリーブランドTA588」などのほうが4〜5ミリ長くなっています。
サンドウェッジのロフトは56度が標準でした。カスタムメイドで作る場合、SWのフルスイングで飛ばしたい距離に合わせてロフトを決め、次にPS、PWとの番手のつながりを考慮に入れて設定することを勧めています。
ただしバンカー専用として考えると、58度前後のウェッジが多くなってきています。
フェースを開いてロブウェッジとして使うことを考えた場合も、この程度あったほうがセッティングしやすいようです。
PSなどのアプローチ用ウェッジとは5度間隔くらいを目安にするといいでしょう。 ただし、パワーのないゴルファーには58度ではややロフトがありすぎになります。
ある程度パワーのある人にとっては上げやすいので楽ですが、非力な人にとっては55〜56度のほうが、距離が出るので脱出しやすくなります。
アメリカの市場では、カスタムメイド、フィティングの市場が活気付いています。
従来のゴルファーの技量に合わせてクラブを作り上げていくフィッティングから、私のショップにもあるようなスウィング解析や弾道測定器を駆使してゴルファーに合ったクラブ作りをしていくというフィッティング方法に変わってきています。
タイトリストのような大手メーカーでもスウィング分析・クラブフィッティング・フィットネス・ボールフィッティングをセットにしたTPIなる事業展開をし ています。日本でもほとんどの大手メーカーがデジタル形式のフィッティングができるショールームなどを充実させ、セミオーダー方式での販売を始めました。
もともと、従来のフィッティングは、リシャフト・ロフトライ角の調整・バランス調整などが主流であり、今のメーカーのセミオーダー方式の多くもこの方法をとっています。
大手メーカーはテレビや雑誌で大げさなセールストークで宣伝したクラブが、陳列するだけで売れてしまうことを望んでいるはずです、そのために莫大な広告宣伝費をつぎ込むのです。
個人対応のセミオーダーは多分メーカーが一番やりたくない販売方法でしょう。アメリカでも日本でもメーカーがクラブのフィッティングに重きを置くのはいい ことです、しかしこれはあくまでセミオーダー的な、シャフト・グリップの選択が可能なだけであって、ヘッドの選択余地は自社の完成済みヘッドに限られてい るのが現状です。
あるゴルファーが、メーカーにセミオーダーで注文するとします。クラブ長さは#3で38.5インチ(グリップエンド合わせ)・バランスD0・シャフトダイナミックゴールドのS200というオーダーです。
この場合のヘッド重量は3Iで241g(ヘッドの重心距離によって若干差があります)位が目安となります。
別のゴルファーが3Iで38.5インチ・バランスD1・シャフトはNSPRO950GH−Sを注文します。
この場合の3Iのヘッド重量は、248g位が目安になります。このとき、メーカーは同じ3Iで7g重量の違うヘッドを在庫しているのでしょうか?
多くのメーカーはヘッドを外注で大量にOEM生産させており、ヘッドに関しては設定したスペックのヘッドしか生産していません。このように統一されたヘッドで上記2名のゴルファーのオーダー通りに作ろうとすると、無理が生じるのです。
アメリカのメーカーの場合、ターゲットは身長の高い西洋人のはずです。当然仕上がったクラブはアップライトで長いクラブになります。
日本人用のフラットなライ角で短く組むための重いヘッドを生産しているメーカーはありません。
軽いヘッドでバランスを出すには、シャフトに鉛を入れて組んだり、シャフトの長さを微妙に変えたりすることになります。
同一品のグリップにも2〜3gの重量誤差はあります。
しかしヘッドの重量の違いを調整できるほどではありません。
グリップ重量差4グラムでバランスポイント1以内の微調整の範囲です。ゴルファーからするとわざわざセミオーダーしているのに、そのオーダー通りつくろうとすると無理が生じ、逆に品質が悪くなる場合もあるのです。


