ライダーカップ
今年のライダーカップは10月1日から3日まで、ウェールズのケルティックマナーリゾートで開催されます。ライダーカップは、ヨーロッパツアーとアメリカツアーの代表選手による対抗戦として、2年に1度行われている団体戦の大会です。
当初はアメリカ VS. イギリスの対抗戦で1927年に第1回大会が開かれています。以後原則的には西暦の奇数年にヨーロッパとアメリカのホーム・アンド・アウェー方式で争わ れ、それぞれのツアーに所属する主力選手による団体戦として人気があります。2001年の大会はアメリカ同時多発テロ事件の影響を受けて開催中止となり、 その翌年2002年に振り替えて開催され、それ以後は偶数年の実施と変わっています。ライダーカップは賞金が支給されませんが、国、地域を背負った戦いに 選ばれることだけでも大変な名誉を得るといわれています。
米国と欧州がプライドをかけて戦うライダーカップには独特のルールがあります。前回大会で負けたチームのキャプテンに、次回大会のフォーマットを変更でき る権利が与えられるというものです。ライダーカップのポイントシステムは3日間に渡り、3種類のマッチプレー競技を通して最も多くポイントを獲得したチー ムが勝利します。マッチプレーに勝てば1ポイント、引き分ければ0.5ポイントとなり、合計28ポイントを争うのです。同点の場合、プレーオフは行なわ ず、前回大会優勝チームが優勝となります。フォーサムは2人1組に分かれ、ティショットを4人全員で打ち、ベストボールを選択して交互に打っていくマッチ プレー方式です。フォーボールは4人全員がプレーをし、そのホールのベストスコアを出したチームが勝つマッチプレー方式です。シングルスは通常の1対1の マッチプレーとなっています。
2010ライダーカップ欧州チームのメンバーは、ワールドポイントで選ばれたリー・ウェストウッド・マーティン・カイマー・ロリー・マッキロイ・グレイ ム・マクドウェルの4名と、ヨーロピアン・ポイントで選ばれたイアン・ポールター・ロス・フィッシャー・フランチェスコ・モリナリ・ピーター・ハンソン・ ミゲル・アンヘル・ヒメネスの5名、合わせて9名はすでに決定していました。残り3名がキャプテン推薦で決定しました。
「ジョニーウォーカー選手権」でエドアルド・モリナリが劇的な逆転優勝を飾った直後に、ライダーカップ欧州チームキャプテン、コリン・モントゴメリーが推 薦選手3名を発表したのですが、選ばれたのはルーク・ドナルド・エドアルド・モリナリ・パドレイグ・ハリントンの3名でした。
C・モントゴメリーは「ルークはライダーカップで7戦して1度しか負けていない。そしてエドアルド・モリナリ。彼の今日のパフォーマンスは言葉にならない ほど素晴らしかった。欧州ツアーで24年間プレーしているが、あのようなフィニッシュは見た事がない。彼は自らチーム入りを決めた。彼を称えるべきだ」と 語り、今期未勝利のハリントンには「過去3年でメジャー大会を3勝していることとマッチプレーの強さ」とコメントしています。
米国PGAの活躍より、欧州の活躍を重視した人選だったのでしょう。開催コースは強風が吹き荒れると難しそうなコースで、C・モントゴメリーが監修してい ます。当地で6月に開催された欧州ツアー「ケルティックマナー・ウェールズ・オープン」では、グレイム・マクドウェルが通算15アンダーで4打差を逆転 し、今季初優勝を手にしています。2週後の「全米オープン・メジャー初制覇」の、大きなステップになった大会でしたが、選ばれたE・モリナリも4位に食い 込んでいました。息の合ったコンビネーションで、イタリア初のワールドカップ制覇を共に果たした、弟のフランチェスコ・モリナリがすでにメンバー入りして おり、ダブルスの組みあわせの相性も考えての選出なのは間違いありません。
キャプテンに「辞退」を直訴していたセルヒオ・ガルシアが、4人目の副キャプテンとしてライダーカップに参加するのも、モントゴメリー流のチーム戦略のよ うですが、昨年けがのためにポイントが稼げなかったものの、推薦が決まる段階で世界ランク9位のポール・ケイシーと、今シーズン2勝のジャスティン・ロー ズが選ばれなかったのは以外でした。
キャプテン推薦が発表された同時刻には、PGAツアーのプレーオフ「ザ・バークレイズ」の最終日が行なわれていました。L・ドナルドはメンバー入りへの最 後のアピールだったのでしょう。前半9ホールを7アンダーとハイペースで飛ばしていましたが、選出された途端に、安心したのかスコアを崩してしまいまし た。ラウンド後、選出されたことと2連続ボギーが関係あるのかと聞かれ、「実は、ありました。ビックリした。チーム入りできなかった選手たちを気の毒に思 う。ポール・ケイシーは世界No.9で全英オープン3位タイ、全米プロではあと少しでトップ10、そして輝かしいマッチプレーの戦歴。彼がチームに入らな かったことは残念。そして、僕の兄は彼のキャディだし、そのことを考えないでゴルフに集中しようとした。でもバック9は集中できなかった」とラウンド中の 発表の影響を語っています。
選ばれたパドレイグ・ハリントンは、なんと落選したポール・ケイシーと同じ組で回り、スコアを崩しました。P・ケイシーは落選を知った7番ホール以降に3 つ伸ばして、世界ランク8位にランクアップしたのは「男の意地」だったのでしょう。J・ローズはスタート前の練習場で落選を知らされ失意の18ホールとな りました。
この発表のタイミングは最悪としか言いようがなく、欧州ツアーとキャプテンのモントゴメリーの配慮のなさを感じます。せめて翌日の昼ならばアメリカ時間の 翌日朝になり、選手たちも冷静に受け止めることができたでしょう。賞金の無いライダーカップを盛り上げるのは選手達です。次回からは、選手たちのことを気 遣った発表の仕方をしてほしいと思います。
注目された米国チームキャプテン、コーリー・ペイビン推薦の4名が発表され、タイガー・ウッズ、ザック・ジョンソン、スチュワート・シンク、リッキー・ ファウラーがチーム入りを果たしました。ポイントランキングで選ばれていた、フィル・ミケルソン・ハンター・メイハン・バッバ・ワトソン・ジム・フュー リック・スティーブ・ストリッカー・ダスティン・ジョンソン・ジェフ・オバートン・マット・クーチャーという、とても魅力のあるチームになりました。
C・ペイビンは「最も重要だったのは欧州のコースでの実績。そして調子の良い選手が欲しかった」と語り、若手のリッキー・ユタカ・ファウラーを選出した理 由については「リッキーに関しては何か直感で感じるものがある」とコメントしています。国の代表として戦うことが念願だったバッバ・ワトソンは「アメリカ のために戦うんだ。これまでの人生で一番出たい大会がライダーカップだった。8歳、10歳の時からライダーカップに出た時のパットを想定しながら練習して いた。ライダーカップは勝ち負け以上に国を代表して出るということを意識する。みんな勝ちたい気持ちは変わらないけど、同時に恥ずかしくないプレーをしな ければいけない」と意気込みを語っています。
地元の欧州は準備を調え迎え撃つことでしょう、アメリカチームのペアリングも楽しみです。お祭り気分ではない「ゴルフの祭典」がもうすぐ始まります。


