ロイヤルトロフィー
今年で4回目を迎えた「ザ・ロイヤルトロフィ」がアマタスプリングCCを舞台に行われました。浮島グリーンが特徴的な8番ホール(通常は17番)をはじめ、コースは世界レベルの試合を開催するにふさわしいコンディションでした。
欧州選抜のキャプテン、コリン・モントゴメリーは今大会の将来について言及し「この時期のヨーロッパは雪が降っているし、天気がひどい。ここの気温は35度あるし、人々、ホテル、コースや設備がとても素晴らしい。この大会の発展は間違いない」と語っていました。
しかし、この大会も世界的な経済危機が長引けば、存続していくことが難しそうです。昨年は、欧州、アジア、日本の3ツアー公認という形でしたが、今年は欧 州とアジアは未公認で、唯一日本ツアーのみの公認となり、現地ではJGTOの競技委員が中心となって競技運営を行っていました。
01年にセベ・バレステロスが「アジアゴルフの発展と、沢山の若者にとってのモチベーションになるはず」と発案し、開催を実現させた大会です。脳腫瘍の手術からのリハビリを続けるセベが、キャプテンとしても戻ってくることを願ってやみません。
チームキャプテンのモントゴメリーが「メンバーを選ぶ時は去年の優勝者から選んだよ、僕以外の7人は過去12カ月に優勝している」と語っていたように、す でにシーズンに入っている欧州チームのメンバーは豪華でした。欧州チームのメンバーはヘンリック・ステンソン、ロバート・カールソン、ピーター・ハンソ ン、アレクサンダー・ノレンの4名のスウェーデン勢に、イングランドのサイモン・ダイソン、デンマークのソレン・キールドセンと、最後にメンバー入りした スペインのパブロ・マーティンとなりました。
マーチンはすでに2戦を消化している「2010ヨーロピアンツアー」の初戦「Alfred Dunhill Championship」で優勝したのですが、優勝前のワールドランキングは488位でした。初優勝は2007年「Estoril Open de Portugal」でアマチュアとしてはヨーロピアンツアー史上、初の快挙でした。何か石川と似ていますね、しかしその後は成績が上がらずに低迷していま したが、今年に入り一気に復活してきたのです。ロイヤルトロフィー前週の、ヨーロピアンツアー第2戦「南アフリカオープン」も好調で、最終日を首位で向か えましたが73と崩れ、6位に終わっています。すでにシーズンに入っている欧州勢は、オフの日本選手とは臨戦態勢が違っていました。モントゴメリーは、去 年の「プレジデンツカップ」での石川の役割を、パブロ・マーティンに担わせるつもりだったのでしょう。
世界ランクはステンソンが7位、カールソン28位、ハンソン56位、ノレン55位、ダイソン43位、キールドセン35位で、アジアと比べるとはるかに強豪 ぞろいでした。マーチンは2週間で234位まで上がってきていましたが、キャプテンのモントゴメリーは勝利から遠ざかっており255位でした。しかし欧州 ツアー賞金王に8度もなった経験と実力はけたはずれで、チーム戦の強さも別格です。今年の欧米対抗「ライダーカップ」もキャプテンに任命されています。
欧州チームのエースはPGAツアー初戦を蹴って参戦のヘンリック・ステンソンでした。1999年にプロ転向後、欧州ツアーを主戦場に戦い、2001年の 「ベンソン&ヘッジスインターナショナルオープン」でツアー初優勝を飾りました。その後はなかなか勝てずにいたのですが、2004年「ザ・ヘリテージ」 で、三年ぶりの優勝、2007年欧州ツアー「ドバイデザートクラシック」ではE.エルスやT.ウッズら強豪勢の追撃を退け勝利し、世界ランクを上げていっ たのです。さらに勢いに乗ったステンソンは「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」で決勝に勝ち進み、ディフェンディングチャンピオンのG.オギル ビーを破り、PGAツアーとWGCでの初制覇を果たしたのです。
昨年の「ザ・プレーヤーズ」では、5打差をつけ最終日を迎えたアレックス・チェイカの乱れに乗じて、終わってみれば2位に4打差をつける圧勝劇でビッグゲームを獲っています。
また昨年の「WGC・CA選手権」初日、パー4の3番ホールでは珍事件の主役になりました。ステンソンはインスタートで、11ホールを終えた時点で5アン ダーと順調にスコアを伸ばしていたのですが、3番ホールのティショットをウォーターハザードぎりぎりの最悪なライに打ち込んでしまいました。選択肢として は1打罰を受けて、ティショットを打ち直し、4打目で乗せていくか、ワンペナルティーで後方にドロップして3打目を乗せていくかでしょうが、ステンソンは 打つ気満々で服を脱ぎだし「グローブとパンイチ」だけで池の中のボールを打ち出したのです。「泥だらけのライだったから、服を着て打つことができなかっ た、残り6ホールくらいを、ドロドロになってプレーするのもみっともなかったので」ということでした。
アジアチームは地元タイ勢が2名、去年と同じくトンチャイ・ジャイディーとプライヤド・マークセンが選ばれました。T・ジャイディーは済州島で行なわれたヨーロピアンツアー
「バレンタイン・チャンピオンシップ」にも優勝し、「09アジアンツアー賞金王」になりました。平均ストロークも1位で、選手から選ばれる 「09Players’ Player of the Year」を獲得しています。世界ランクは58位で、P・マークセンは94位でした。
日本から参加の石川遼の世界ランクは30位、小田孔明は73位で、昨年の活躍ペア、中国のW・リャンは82位、韓国のチャーリー・ウィが151位となって いました。インドからはガガンジート・ブラーが選ばれましたが、同じくインドのジーブ・ミルカ・シン(50位)とのペアリングを考えての選出だったので しょう、世界ランクは168位でしたが、21歳とインド期待の若手で昨年のアジアンツアーの賞金ランクは6位でした。
初日の練習場での出来事です、私はメンバー・プレススペースの中央で見ていました。いよいよ石川の登場にギャラリーは拍手喝采、そしてギャラリー全員がカ メラを用意しだしたのですが「撮影禁止です」とカメラをしまうように指示してまわり、ギャラリーをにらみつけるようなJGTOスタッフもいました。タイ人 のセキュリティーも、カメラを構えたギャラリーを見つけると日本人スタッフに言いつける始末でした。
ギャラリーありきのトーナメントです。練習場ぐらいは撮影を許可してもいいのではないでしょうか。最近の日本のトーナメント会場ではどうなのか分かりませ んが、ヨーロピアンツアーやアジアンツアーの練習場は、撮影禁止ではありません。現に石川がスタートした後は、他の選手を撮影しても誰も何も言われません でした。
つまり石川だけが撮影禁止になっていたということになります。周りが神経質になりすぎて、とても暗いムードの練習で、見ていて楽しくありませんでした。本 人もカメラを気にしすぎているのか、表情に明るさがありません。爽やかな笑顔で、颯爽と登場するものと思っていたファンもがっかりだったのではないでしょ うか。
去年よりスイングのレベルが上がっているのは間違いありませんが、去年見せていた「まぶしい若さとやる気のオーラ」が感じられませんでした。笑顔がトレー ドマークだった丸山茂樹が、近寄りがたいほどの悲壮感と漂わせて勝てなくなったのを思い出し、少し心配になりました。すべて行動を注目されながら、常に戦 い続けなくてはいけない「宿命」を背負っている石川ですが、笑顔でゴルフを楽しむことだけは忘れないでほしいと感じました。


