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E-mail: sammy@sammygolf.com
Open: 12:00~20:00 (月曜定休)

Kankokutei

上田桃子の再挑戦 11月15日号

マレーシアのクアラルンプールG&CCで開催された

PGAツアー「CIMBクラシック」の3日目。

4アンダーの18位タイからスタートした石川遼は3バーディ、2ボギー、

1ダブルボギーの73とスコアを落とし、通算3アンダー29位タイに

後退しましたが、高い湿度による体調不良に悩まされたことを語っていました。

3日連続で発生した雷雨による中断の最中、クラブハウスで椅子に

腰かけていた石川は「13番までは大丈夫だったんですけど、

中断で休んだときに途中から体がけいれん、震え出した」と

振り返っていましたが、約2時間半の休憩後は14番で3mを沈め、

17番では第2打をピンそば1.5mに絡めて2バーディを決めて巻き返しました。

しかしホールアウト直後は息も乱れていたそうです。

 

「脱水症状っぽい感じ。水曜日くらいから熱中症のような症状があって、

気をつけなきゃいけないと水分、エネルギーを補給していた」といいますが、

開幕前日、午後のプロアマ戦直前には首に冷えたペットボトルを当てて、

練習グリーンの脇に座り込むシーンもありました。

脱水症状が出た後にスコアを伸ばす結果となりましたが

「14番以降はショット、パットに影響を及ぼすことはなかった。

ただ、フィーリングが出ない感じはありました。落ち着かない、

体重の位置がフラフラしていたところもある」と、話していました。

 

タイで慣れている読者の皆さんも、体中をジットリ包み込むような暑さを

経験したことがおありでしょうが、現地の湿度は連日90パーセント台でした。

「去年のタイ選手権の時も、最終日の朝に熱を出したんです。

体力が不足している」と、振り返っていました。

最終日を3アンダー29位タイからスタートした石川は、

4バーディ、1ボギーの69で回り、米国男子ツアーの新シーズン出場3戦目を

通算6アンダーの26位タイで終えています。

体調不良を訴えたラウンドから一夜明けたこの日は、

午前8時前と早いスタート時間にも恵まれ「きょうはだいぶ楽でした。

涼しかったですし」と、笑顔で振り返りましたが、

ショットの合間にも入念にストレッチを繰り返すなど、

万全の状態とはいかない中、5番までの2つのパー5で

確実にバーディチャンスを決めました。

 

「眼の前の一打に集中してできた。トップも離れていたので、

スコアを気にせずできた」と、ティが前に出て358ydに

設定された打ち下ろしの14番では、ドライバーでグリーン右手前の

バンカーまで運び、2打目の難しい下りのバンカーショットを

1mに寄せてバーディを奪います。

体調に気を遣いながらのラウンドでしたが、

アンダーパーフィニッシュには納得しているようでした。

次のPGAツアー出場は年明けとなりますが、

2014-15年シーズンは開幕4戦で3試合に出場し、

19位、28位、26位の成績でした。

優勝争いこそできませんでしたが、予選落ちがなく地道に

フェデックスカップポイントを稼いだことは来年に繋がります。

 

「この3試合“乗りに乗っているゴルフ”は正直言って、

1回もできませんでしたが、集中力が途切れたラウンドはなかった。

『トゥデイ・3オーバー』となっても、そこから巻き返せた。

そういうところが違う、1年前と比べて成長できたところ」とも語っています。

「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP in 霞ヶ浦」から

年内は国内ツアーに専念、最終戦「日本シリーズJTカップ」まで

5試合連続で出場することになっています。

「ゴルフをやる場所が変わるだけ。ルールも、取り組むことも変わらない。

『日本でやるから勝つ』とか、目標云々を変えるのではなく、

目の前の狙いに打つだけ。真摯に向き合って一打をやっていきたい」と、

日本での連戦に自信を深めての帰国です。

 

最終日を4アンダー22位タイからスタートした松山は

5バーディ、2ボギーの69で回り、通算7アンダーの21位タイで試合を終えました。

チャンスを逸し続けた序盤の流れは6番からの2連続バーディだけと伸ばせず、

インでは2ボギーのあと、15番でグリーンエッジからパターで沈めるなど

3バーディを決めましたが、スコア以上に充実感いっぱいに語ったのは

「後半になってやっとショットが思い通りに打てるようになった。

曲がっていましたけど、いい感じに振れるように。

そのおかげでしっかりバーディを獲ることができた」と、

松山はサンデーバックナインの上がりだけは納得できた様です。

 

最終18番は、フェアウェイからの3打目を右奥に切られたピンに対し、

ショートサイドを攻め込んで、右2mからバーディフィニッシュでした。

思ったような攻めがスコアに結びつき「練習していたら、

何が悪かったのか少しずつ分かってきた」と、

雷雨により3日目まで毎日中断を強いられる展開でした。

2日目にはホールアウトした後、2時間以上クラブハウスで待機し、

再開後には人もまばらなドライビングレンジで打ち込みを行っています。

東南アジア特有の環境で変則日程を日々強いられても、

努力の姿は普段通りでした。

「初日、2日目の調子が10段階で言ったらゼロだったのが、

1、2くらいまでは上がったかな」と、4日間を通じ、

参加者が苦しんだパッティングには「すごく良かった4日間でした。

ただ、入っていないだけ」と、タッチが合ってきたことを語っています。

「あとはウェッジショット、グリーン周りの感覚がつかみ切れてない。

そこができればね」と、日本のツアーには目もくれず、

メジャーやビッグタイトルに照準を合わせているようです。

 

LPGAのシードを逃し、今年から日本の女子ツアーに

再挑戦している上田桃子が、新たなスタイルを体得する

価値ある1勝を手にしました。

1打差の2位からスタートした「樋口久子 森永レディス」最終日を

4バーディ、1ボギーと69のラウンドで、

通算10アンダーで今季2勝目を挙げました。

首位タイで迎えた最終18番、4mを沈めるバーディフィニッシュで決着をつけ、

日本で賞金女王を戴冠したころの強さを見せつけました。

復活を信じ、自身を鼓舞するために来シーズンは

年間10勝を目標に掲げています。

2003年に不動裕理が打ち立てた、年間最多優勝記録の金字塔を越えるには、

これまでの攻め中心のプレースタイルだけでは達成することは困難で、

あらゆる「勝ち方」を体現することが必要です。

 

攻めのスタイルとは対照的な「自分に期待せず、

無理をしないこと」をテーマに臨んだ大会でした。

風邪による体調不良から入り、ショットが不調だったことを打ち明けていましたが、

そのため楽な気持ちで戦えたのでしょう。

この日は前半4番でボギーが先行しながらも、

攻めに転じることもなく、切りかえたのは追い上げの起点となった

8番、9番の連続バーディでもなかったと振り返っています。

勝利への意識は「18番のバーディパットまでなかった、

それだけショットの状態が悪かったこともある。

他のことを考えている余裕がなかった」とのことでしたが、

プレーを支えたのは、成長を自覚しているショートゲームでした。

上田が挙げた最大のハイライトは7番ホール、

グリーン左サイドのラフから打った30yバンカー越えのロブショットでした。

 

ピン位置はグリーン左から7yと、落としどころはわずかしかない状況でしたが

「ライも悪くて、エクスプロージョン気味に打った」というロブショットは、

エッジを4yほど越えたグリーン上にキャリーし、

手前1.5mにピタリと止まりました。

ダブルボギーも覚悟した大ピンチをパーで切り抜けたのですが

「10回打って、1回できるかどうか。アメリカを経験したからこそ、

打てた1打だった」と振り返っていました。

武器とするショットは不調で攻めたい気持ちとの葛藤、

その中で勝てたことに、米国では否定され続けた自身のゴルフに

手応えと感じたということで「こういうゴルフで勝てたこと、

今までにないプレースタイルを見つけられたことは大きい」と、語っています。

 

上田桃子は10歳の時から坂田塾でゴルフを始めています。

2005年のプロテストに3位で一発合格し、同年のLPGA新人戦

「加賀電子カップ」で優勝し注目を集めたのです。

2006年からレギュラーツアーに本格出場し優勝こそなかったもののシード権を獲得。

2007年には地元熊本開催の「ライフカードレディスゴルフトーナメント」で

初優勝を遂げると、「リゾートトラストレディス」、「スタンレーレディス」と勝利。

その後も勢いは加速し、米国LPGA公式戦「ミズノクラシック」でも優勝を飾り、

2008年の「米国女子ツアーシード権」を獲得し、

「大王製紙エリエールレディス」でシーズン5勝目を挙げ、

史上最年少の「賞金女王」に輝いています。

2008年からは米ツアーに主戦場を移しましたが、

スイング改造に悩む中、2011年「ミズノクラシック」を制し、

2年ぶりのタイトルを獲得しています。

 

米国では、ツアー参戦当初のスランプから脱し、

世界ランクトップを争った宮里藍と比較されることが多く、

なかなか結果が出せずに辛い時期を過ごし、

今年の米国ツアーシードを逃した段階で日本に戻りました。

今シーズン前、バンコク近郊で練習していた上田に

「悔しい経験は必ず力になるから、アメリカに行った頃の気持ちで

もう一度頑張れ」と、話したのを覚えています。

出場権を持たない「日本女子オープン」の予選会に

単身での挑戦した際「キャディもいない、メモもない、

全て自分でやらなければならなかった」と、現在置かれている自分の立場、

周囲のバックアップに感謝するとともに、

10歳以上も離れた若手の迷いのないプレーに感化され、

気持ちを新たにしたことを語っていました。

 

帰国時点で9勝(国内8勝、未公認国内1勝、 海外1勝)を

挙げていた上田ですが、2011年の「ミズノクラシック」を最後に

優勝からは遠ざかっていました。

「正直、もう少しやれると感じていた。もちろん優勝できれば

ラッキーだと思うけど、ここからは来年に向けての土台を作る後半戦にしたい」と、

技術面の底上げや「自分を作る」ことにシフトすることで

「自分のスタイル」を思い出し、ウィークポイントを修正していくことで

目標を叶えようと取り組み方を変えた途端に、

大箱根CCで行われた「CAT Ladies」で復活優勝を飾りました。

 

最終日の新旧賞金女王の戦いは、3打差で森田理香子を追ってのスタートでした。

最終ホールで森田に競り勝っての優勝でしたが

「アメリカでの苦しかったけど勉強になった6年間。

これでいいんだという気持ちがあったから涙が出なかったんだと思う」と、

上田に涙はありませんでした。

スタート前にバランスボールに腰掛けて練習をしていましたが、

彼女の持ち味は股関節の柔軟さと、下半身の強さです。

シーズン当初、予選落を喫した際に「補う作業は自信をなくす。

正直、今年は捨てようと思って、自分の土台を固めようと考え直した」と、

自分が現在持っているものを見つめ直し「泥臭く攻めること」に徹した勝利でした。

結果がすべての世界ですが、彼女も一瞬たりとも

努力を怠ったことはなかったはずです。

米国という時差がある広い国土の移動、言葉の壁、食生活の問題と、

ゴルフ以外の障害物競争に敗れ、日本に復帰した上田桃子ですが、

年間10勝を目標に掲げる来シーズンに向け力強く踏み出しました。

米国で結果が出せなかった選手たちが通用するのが日本ツアーの現実で、

体調が整えば石川にも優勝のチャンスは訪れるはずです。

 



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