全英オープン
148年という世界最古の歴史を誇るスポーツの大会「全英オープン」がイングランドのロイヤル・バークデールで開催されま した。頂点に達したボールが、横風で30m近く流されるような強い風が吹き荒れていました。グリーンを早くするとボールが動き出してしまうため、本来ダブ ルカットにするところをシングルカットに変更するほどの、歩くのも大変そうな強風でした。
初参加の今田竜二を始め、日本勢の全員予選落ちは寂しいですが、ある意味、仕方ないと思います。比較してもしょうがないのですが、世界を舞台に戦っている選手達とは、経験や準備の差がはっきり出てしまいました。
日本人選手の場合は、今回のような条件で普段から練習することはありません。今回のような過酷な条件で上位に入るには、想像力や忍耐力だけで補えるものではありません。
ディフェンディング・チャンピオンのパドレイグ・ハリントンは前哨戦に2007年に続いて「アイルランドPGA選手権」に出場しました。昨年ハリントンは、祖国での大会でつけた勢いをカーヌスティまで保ち、見事「全英オープン」で初優勝しています。
今年も、去年と同じ準備を選択し連覇しました。しかしハリントンは「アイルランドPGA選手権」で優勝した後、右手首を痛めていたようです。練習日の15 日(火)はアウトの9ホールを回った後、インではフルスイングのショットを打たず、チップショットとパットだけを練習したそうです。
また、ハリトントンは症状が極端に悪化した場合は、土壇場で棄権する可能性を示唆していました。
「全英オープン」に向けて、選手達の準備方法は①「バークレイズ・スコットランド・オープン」②パドレイグ・ハリントンのように「アイルランドPGA選手 権」に出場すること③タイガー・ウッズが過去に行なったように、イギリスのリンクス・コースで練習することが挙げられます。「全英オープン」で優勝を目指 すなら、様々なリンクス・コースでプレーし、風の中や難しいライからのショット、そして、転がして寄せるアプローチに慣れる必要があるのです。
フィル・ミケルソンが「スコットランド・オープン」に出場し、ロイヤル・バークデールで練習ラウンドを3回行って本戦に臨んだことは、メジャーへの調整法を知り尽くしたミケルソンらしく、素晴らしいと思います。
アメリカでボールを上げて寄せるアプローチで成功を収めているミケルソンは、普段やらない転がすショットもマスターしないといけないことを知っているのです。弾道が高めのミケルソンは、低い球に慣れるための準備を選択したのです。
大会は3日目を終了し53歳のグレッグ・ノーマン(オーストラリア)が最年長優勝記録を果たすかが大きな見どころとなりました。
世界のツアーで86勝、タイガーが現れるまでは6年間(331週)世界ランキング1位でした。しかし、メジャーでは2位8回と不運が続いたのです。
86年の全米プロではボブ・トウェイのバンカーショットがカップインし、2位。87年のマスターズではラリー・マイズの奇跡のチップインバーディーに破れ2位。86年にはメジャー大会全てで3日目を終えてリードしていながら、全英オープンの1勝に終わっています。
96年には悲願のマスターズ制覇まであと一歩というところで自滅。最終日は6打差でスタートしていながら、終わってみれば78を叩き、ニック・ファルドに優勝をさらわれています。
最近はコースデザインやワイナリー等ビジネス界に転身。今回は彼自身が取締役会の会長を務める「マグレガーゴルフ社」のアイアンを使っていましたね。
2007年12月、元プロテニスプレーヤーで全仏オープン7勝を含む、4大大会シングルス通算18勝を挙げたクリス・エバートと結婚して話題になりました。
「彼女にテニスを教えてもらい、それがとても良いトレーニングになっている」と語っていました。何よりもテニスのメジャーを18勝している「エバート効果」は確実にあったはずです。
3日目を終了しノーマンは「勝ちたいという気持ちはもちろんあるが、その気持ちを受け止められるだけの肉体はもう私にはない。だから自分に対する期待は低 い。最終日は、これまでの3日間と同じような気持ちとルーティーンで臨むだけだ」と語っていまた。しかしそれが一番難しいことなのです。そうしたくてもそ うできず、さまざまな期待が重圧になって崩れるというのが、メジャー最終日によく起こる現象です。しかし、53歳になったノーマンなら、それができるかも しれないと応援していました。
最終日、スタートホールのティーグラウンドでの行動が、3日目までとは明らかに違っていました。ハリントンは迷わずアイアンを抜いたのに対して、ノーマンは一度抜いたドライバーをアイアンに変えました。さらにアドレスに入った後、何かを嫌って仕切り直したのです。
勝ちを意識した時に、以前のノーマンに戻ったように感じました。全盛期のノーマンは、記者たちからすると決して「好きな選手」ではなかったのです。記者は 何度も何度もコメントを拒否され、カメラマンは何度も何度も撮影を拒否されることがあり、かつてのノーマンを知るメディアの感情は「ノーマンには優勝して ほしくなかった」というのが本音ではなかったのかと思います。
昨年の全英の開幕前、「ナイスガイが勝つ」と語り、自分が勝ってしまい照れ笑いしたハリントンが今年もまた優勝。
本物のナイスガイなので、102年ぶりの欧州選手2連覇までしてしまったということなのでしょうか。
その記者たちのインタビューは「タイガー不在のメジャー」に終始し、選手達はうんざりしていたようです。
チャールズ・ハウエルⅢ世は「タイガーは世界・欧州・PGAツアーで、出場する全ての大会で優勝候補ですから、タイガー抜きのメジャーは格が下がると考え る人もいるでしょうが、タイガーがいなくても簡単に勝てるわけではありませんし、156人の精鋭全員にチャンスがあります。タイガーはきっと笑っているの ではないでしょうか」と答え、ジム・フューリックは「タイガーがいない大会で優勝と強調されることはないと思います。20年後に今年の大会を振り返ったと き、2008年に“全英オープン”を制した選手は誰で、あのときはタイガー・ウッズはいなかった、なんて誰も言いませんよ。そんな風に歴史に刻まれること はありません」と反論していました。
通算9オーバーとなったノーマンは、3位タイでホールアウトしました。2009年全英オープン開催地は、ターンベリーです。このコースは、ノーマンが 1986年にメジャー初制覇を飾ったコースです。見事な復活をみせたノーマン、来年こそ「エバート効果」で全英史上最年長優勝の記録を更新となるのか!?
今回欠場したタイガーは戻ってくるのでしょうか?
さらに2007年・2008年王者パドレイグ・ハリントンは、ピーター・トムソン以来53年ぶりとなる3連覇を達成できるのでしょうか?


