売っても儲からない販売戦略
タイガー・ウッズや全米オープン覇者ルーカス・グローバーをはじめ、今年はナイキ契約プロが活躍しています。 AT&Tトーナメントではタイガー・ウッズが優勝し68勝目、アンソニー・キムとルーカス・グローバーはトップ5に入りました。同トーナメントで のウッズのドライビングディスタンスは平均312.4ヤードで4位、使用ドライバーはNike SQ DYMO でした。フェアウェイキープ率(ドライビングアキュラシー)も73.2%で7位タイとなっています。しかしその翌日から、ナイキのドライバーが米国市場で 投げ売りされています。エドウィンワッツ等の小売ショップがナイキドライバー、DYMO、DYMO2のSTR8-FITを前週の100ドル引きで販売を始 めたのです。
これらのドライバーは8つの異なる弾道に調整できるとして2008年12月に発売されたもので、ナイキゴルフの発表では08マスターズに優勝したトレ バー・イメルマンも使っていたそうです。元々ナイキゴルフは、世界的な経済不況を反映した販売戦略として、最低広告価格を399.99ドルに調整する結論 を出していたのですが、DYMO及びDYMO2のSTR-FITドライバーは現在1本299ドルまで値下げされたのです。更に同社高級ラインゴルフボー ル、定価1ダース45ドルのTour Oneも、2ダース60ドルで販売しています。
ルーカス・グローバーが今年の全米オープン(ベスページブラック)を制した時に使用し、タイガー・ウッズの68勝目に貢献したドライバーは、メーカーとし てはプレミアムを付けて販売してもおかしくない商品のはずですが値下げ断行とは、それだけアメリカの経済不況が深刻で、消費が冷え込んでいるということで すね。
キャロウェイゴルフはアメリカ市場で、同社ドライバーFT-iQが無料で貰えるプロモーションを展開しています。このドライバーは、2008年12月、同 社新製品として当初価格499ドルで発売されたのですが、現在、同社製品のFT-i-brid(FTアイブリッド)セット、又はFTアイアンセットを購入 したゴルファーに無料で提供されています。
販売促進のためとはいえ、アイアンを購入するとドライバーを無償で提供するとは、今後のさらなる価格破壊の連鎖を予想させます、売っても儲からないものを 売ることになる販売戦略は、メーカーの自殺行為だと思います。2009年度のゴルフビジネス環境の厳しさは相当なもののようです。
全米オープンでは、小売チェーンのゴルフスミスとキャロウェイゴルフがタイアップして、この時期を利用したキャンペーンを実施しました。このキャンペーン の内容は、6/3日以降、6/17日までに、キャロウェイゴルフの新製品ドライバー、「Big Bertha Diable」、「FT-9」又は「FT-iQ」を、米国内ゴルフスミスの各店で購入したゴルファーは、もしキャロウェイゴルフの契約選手、フィル・ミケ ルソン又はロコ・メディエイトが、全米オープン(ベスページブラック)で優勝した場合、その購入代金を全額返金してもらえるという企画でした。
ゴルフスミス社は「このイベントはゴルファーに、キャロウェイ新製品ドライバーが、二人のトッププロによって無償になる大きなチャンスを与えるものだ。 キャロウェイによる現在進行中のプロモーション、"新製品ドライバーを購入すると、フェアウェイウッドかハイブリッドを1ドルで買える"キャンペーンと併 せて、今ゴルフスミスで購入する又とないチャンスだ」とコメントを出していました。
フィル・ミケルソン、ロコ・メディエイト、双方共に最近のメジャーで記憶に残る実績を残しています。メディエイトの昨年の全米オープン(トーリーパイン ズ)でのタイガー・ウッズとの死闘や、前回、ベスページブラックで行われた全米オープンでのウッズ(優勝)とミケルソン(二位)の戦いからも購入後、期待 をしてみていたゴルファーも多かったのではないでしょうか。
残念ながら全米オープン5度目の2位フィニッシュとなったミケルソンは、首位と5打差でスタートしたものの、上の2人が自滅を繰り返し、気付いたら3打 差、2打差、そして13番パー5のイーグルで遂に並んだのです。全てが「ミケルソンが勝つ」ために動き始めた様に感じました。キャロウェイのドライバーを 握り締めて応援していた多くのゴルファーと、140名の参加選手、メディアまでもが「勝ってくれ」と願っているかのような、勝負の大きな流れを作ったかに 見えましたが、全額返金は夢と消えました。
ゴルフスミスとキャロウェイゴルフのキャンペーン、「買う必要はありません。(No purchase necessary.)」は、ゴルフスミスの米国内ショップだけで展開されたのですが、同じようなユニークなキャンペーンがマスターズでも行なわれていました。
ゴルフスミスと、テーラーメイドが協力して展開されたキャンペーンの売りも「買う必要はありません」というものでした。テーラーメイドが発売している新製 品ドライバー3機種(R9、r7 Limited、Burner 09)のいずれかを、ゴルフスミスの各店又は同社オンラインストアで、4月11日までに購入したゴルファーは、「もしセルジオ・ガルシアがマスターズで優 勝したら・・ゴルフスミスによってその購入代金全額を払い戻して貰える」というものでしたが、ガルシアは38位に終りました。
テイラーメードもディスカウントブランドを目指しているようです?
新製品のR9ですが、USスペック(RE*AX 60 by Aldila)は
楽天市場では(税込 24,800 円) 送料込みと、新品とは思えない信じられない価格です
ところが同じヘッドでディアマナカイリやTourAD EV-6にシャフトが変わると (税込 71,400 円) 送料込みになります
シャフト代がそのまま乗っかり46,600もの価格差になっていますが、納得するゴルファーはどれだけいるのでしょうか?
トータルチューニングドライバーが謳い文句ですが
ヘッドの調整が出来るだけで、インパクトゾーンの
シャフトの動きはフィッティングできないのが現状です
コストダウンを前提に挿してあるシャフトに
ハイパフォーマンスを求めても無理な話です
これだと、どうせシャフトは使えないUSスペックモデルを買って
自分の好きなシャフトにリシャフトするほうが安く上がります
景気が悪い時こそ、良い商品を、時間をかけて販売してほしいと
思うのですが「安物買いの銭失い」のディスカウントを演出し
結果として自分の首を絞めているのは、残念ながらメーカーです
ゴルフスミスはさらに、ジャック・ニクラウスを含む多くのメジャーチャンピオンに使われてきた有名ブランドで、112年の歴史を持つ「マグレガー」を買収 することを5/20日発表しました。マグレガー社の多数株を所有し、同社会長を務めてきたプロゴルファー、グレッグ・ノーマンによれば、ゴルフスミス社が マグレガー社の持つ南北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージランド、アフリカにおける知的財産権を獲得する話で決着が着いたとのことです。
この売却により、グレッグ・ノーマンは完全にマグレガーから離れ、現在のテーラーメイドとの用具使用契約を除き、ゴルフ用品事業から撤退するとのことでし た。「自分は今後ゴルフ用品から離れる。ゴルフ用品業界は中級ブランドにとって展開が難しい」と話しています。ジョージア州アルバニーにあったマグレガー の工場は閉鎖されることになりました。
ゴルフスミス社は、マグレガーブランドが依然保有しているブランド力を、同社のハウスブランドとして、小売店頭販売、インターネット販売、カタログ販売に 加えて活かす考えのようです。同社の計画では、ドライバーは小売価格200ドル強のレンジ、アイアンセットは400ドルから600ドルのレンジと低価格の 新製品を今年末に発売するようです。
ジャック・ニクラウスを筆頭に、トッププロが使っていた、我々の世代には「憧れのクラブ・マクレガーターニー」がディスカウントブランドになるのは非常に残念ですが、これも時代の流れなのでしょう。


