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Open: 12:00~20:00 (月曜定休)

Kankokutei

宮里藍復活優勝

「なでしこジャパン・世界一」に触発されたのか「なでしこゴルフ」を代表して、宮里藍が「エビアンマスターズ」で今シーズン初優勝を飾り、被災地に朗報を届けました。初日から宮里藍、笠りつ子、佐伯三貴の3人のなでしこが、首位と1打差の4位タイと好発進を見せていました。自身初の「LPGA優勝」を飾った思い出の大会で、初日の宮里は6バーディ1ダブルボギーの「68」でしたが「5番でダブルボギーを叩いた後、自分をコントロールしてよく戻すことができた」と09年の再現へ、初日から上々の滑り出しでした。


2日目の首位は通算9アンダーで佐伯三貴でしたが、「68」とスコアを伸ばした宮里藍も1打差の2位タイに浮上して2日目を終えました。17人の日本人選手が出場しましたが、予選通過を果たしたのはそのうち11選手でした。

そして3日目に09年のチャンピオン・宮里藍が主役に躍り出す。首位と1打差でスタートした宮里は、5バーディ・ノーボギーの完璧なゴルフで通算13アンダーとスコアを伸ばし、2位に2打差をつける単独首位に浮上したのです。一方で単独首位からスタートした佐伯三貴は、「珍しく緊張していた」と1番をボギー発進。その後も苦しい戦いでしたが、11番で10mのバーディパットを沈めて息を吹き返し、その後も2バーディを奪い2位タイに踏みとどまり、宮里美香も通算9アンダーとして8位タイと健闘していました。

最終日の宮里藍は3番で5mを沈めるバーディ先行でした。久々の優勝争いで不安もあったでしょうが、バーディ発進で落ち着き、勝利への自信を深めたことでしょう。6番、8番でもバーディを奪い通算16アンダーとして逃げ切り体制を固めつつありましたが、同じ組のR・ホンが11番で10m以上のバーディパットを沈めて通算13アンダーとすると、勢いに乗って、続く12番では50cmにつけるOKバーディと宮里を追撃。対する宮里の12番は、2打目をグリーン奥にこぼすと、寄せきれずにボギーにしてしまいます。わずか2ホールでその差は1打となってしまいました。

しかし「予想はしていました。必ず自分が差をつけて勝てるかは分からないし、上位は実力ある選手が多いと心構えがあった分、一打差になっても焦りはなかったですね」と、続く13番の第2打はピンをかすめて5mにつけ、そのバーディパットを沈めて再び通算16アンダーと引き離しました。

2打差をつけて18番を迎え、2パットのパーで逃げ切りました。「やっぱり1回勝つのはすごく大変だと思いましたがやっと今季一勝を挙げられたので、後半も勝ち進んで行けたらと思います」09年に「エビアンマスターズ」で初勝利を果たした宮里の2010年は、開幕戦から2連勝を含む年間5勝と大活躍でした。同じ流れなら、来年の活躍も間違いなさそうです。

大ギャラリーの笑顔と青い空に白い雲、エビアンピンクに彩られた18番グリーンでの華やかな表彰式でしたが、宮里はスピーチの途中で感極まり、涙がほほをつたいました。「自分のことっていうよりも、この試合自体が、特にトーナメントディレクターのジャックが気を利かせてくれて、日の丸が降りてきたときに“日本のことを思いましょう”って言ってくれたりして、そういう心遣いの温かさが自分の優勝以上にうれしかったです」と答え、女子サッカーのW杯で優勝した「なでしこジャパン」に続き海外で栄冠を、震災からの復興に立ち向かう日本へ届けてくれました。

 

第二のふるさとでもある被災地に対する宮里の気持ちと、その想いを支えて応援してくれた地元フランスの人たちへの感謝が、涙になってこぼれ落ちたのでしょう。

「エビアンマスターズ」優勝の翌週に開催されたのは、米国女子メジャー最終戦「全英リコー女子オープン」でした。メジャー初優勝の期待がかかる宮里藍は、18ホールの練習ラウンドを終え「やるべきことはやってきたので特に変わりはないです」と、前週優勝で迎えるメジャー大会を、平常心で臨むことを語りました。

緊張を強いられる優勝争いでの精神、肉体面での消耗についても、「睡眠をとるのが大事なので、結構寝ていました。体が寝ることを欲しているときには、起きてもまた寝るようにしています。夜も眠れているので、体は休めていると思います」と、疲れている中でも万全の準備を整えたようでした。

「全英リコー女子オープン」の開催地はスコットランドのカーヌスティ・リンクスでした。1840年にオープンし、これまで全英オープンを7回開催しています。非常に戦略性が高く、さらに他のリンクスコースにない「バリー・バーン」と呼ばれる小川がコース内を流れており、この「バリー・バーン」がコースの難易度をさらに高めています。

1968年にこのコースで優勝したゲーリー・プレーヤーは「世界で最も難しいコース」と語っていますが、「全英オープン」の開催コースの中でも一番難しく、世界のゴルフコースの中でも5本の指に入るといわれています。

1975年以降、コースが荒れたことや観客の収容人数が不足したこともあり、全英オープンは開催されませんでしたが、1999年に1900年代最後の年を記念してホテルや観客席を増設し、24年ぶりに復活しています。この大会が「全英オープン」史上に残る大会になったことや、興行的にも成功したことで、「カーヌスティ」は再び全英オープンの開催コースとしてローテーションに復帰し、2007年に再び全英オープンを開催しました。

 

最終18番(499ヤード・パー4)は「Home」という名前がついていて、左側がグリーンまでOBゾーンになっており、選手にプレッシャーを与える「バリー・バーン」がティーの右側からフェアウェーを横断し、グリーンの手前まで流れています。

2007年大会でも、首位を走っていたパドレイグ・ハリントンが「バリー・バーン」に2度捕まり、ダブルボギーを叩いて首位から陥落、1999年大会の「ジャン・バンデベルデ・カーヌスティの悲劇」の再来を思わせました。2位に3打差をつけて最終18番ホールを迎えたJ・バンデベルデはティショットを右に大きく曲げて隣の17番ホールへ打ち込んでしまいます。グリーンを狙った2打目は観客席を直撃して深いラフの中へ。そして3打目、ダフリ気味のボールは無情にも「バリー・バーン」に飲み込まれてしまいます。

冷静さを失ったJ・バンデベルデは無謀にもウォーターショットを試みようと靴下を脱いで「バリー・バーン」の中へ。しかしJ・バンデベルデが作った波紋によってボールが岩の間に入り、結局拾い上げてペナルティを払う処置をしました。

しかしその5打目はドロップするところがない最悪の状況でした。「バリー・バーン」の手前はもとより、そこからいくら遠ざかっても深いラフが続いており、おまけにギャラリーが埋め尽くしているところはOBゾーンでした。J・バンデベルデは長く深いラフの中にドロップするしかなかったのです。

いったい「全英の神様」は、いくつ彼に試練を与えるのか?最悪の場合また「バリー・バーン」に入る可能性もあった5打目は、「バリー・バーン」をやっとこえたものの、バンカーにつかまり結局6オン。何とか1パットで決めたもののトリプルボギーを叩き、決着は地元のポール・ローリーとJ・レナードとのプレーオフになりました。

プレーオフではJ・バンデベルデに流れが傾くことは無く、ポール・ローリーが逆転で初メジャー優勝を決めました。メジャーに勝つということの本当の大変さを嫌というほど見せつけられた大会で、ギャラリーも胸が苦しく、切なくなる「J・バンデベルデ・カーヌスティの悲劇」でした。

2007年はP・ハリントンのミスに乗じて首位に立った最終組のセルヒオ・ガルシアが、入れば優勝というパーパットを外しプレーオフに突入、命拾いしたP・ハリントンはS・ガルシアをプレーオフで振り切り優勝を決めました。二度目の悲劇を乗り越えたP・ハリントンは、翌08年のロイヤルバークデールの大会も制し「全英2連覇」を果たしたのです。

今回の「全英女子オープン」に挑む宮里藍には、両親以外にも心強い援軍が応援に来ていました「女王を育てる最強のカリスマコンビ」として知られるピア・ニールソンとリン・マリオットの両コーチです。二人から「今の藍は非常に自信を持っていて素晴らしい。集中力も抜群で確実に勝てる。最終日に彼女はメジャーチャンピオンになる」とお墨付きをいただいての初日でした。

20年以上ゴルファーのメンタル強化に取り組んできた両コーチは全18ホールでバーディを取ることを目標にする「ビジョン54」の提唱者として有名です。母国スウェーデンのアニカ・ソレンスタムを、メジャー通算10勝の「女王」に育て上げ、米ツアー史上最多の賞金女王8度に導いたことが評価され、最近では現在世界ランク1位のヤニ・チェンや昨年の賞金女王チェ・ナヨンにも指導をしています。

宮里藍はこの大会3年連続で1桁順位に入っており、調子が上向きということもあり「すごく楽しみ」ということでした。宮里美香も今季のメジャー3大会を全て10位以内と安定し「エビアンマスターズ」も9位と好調をキープしての参戦で「トップテンに入りたい」と意気込みを見せ、予選ラウンドはジュニア時代からのライバルの「女王」ヤニ・ツェンと同組でした。

そして迎えた「全英リコー女子オープン」の初日は、これが「全英」かと、目を疑うような快晴無風の絶好のコンディションでのティオフでした。しかし待っていたのはこれまた目を疑うような光景でした。

宮里藍の1番のティショットはフェアウェイセンター。2打目はランを計算してグリーン手前に落としたのですが、傾斜にキックしてグリーン奥のカラーまで転がってしまいます。下りのファーストパットは1m強オーバーして、返しを外してのボギー発進でした。続く2番は第2打をグリーン左のバンカーに入れて寄らず入らずのボギー。3番はフェアウェイに打ったティショットがディボットに入る不運。2打目はうまく球を捉えられずに、グリーン手前の「バリー・バーン」に入れてボギー。4番はティショットが右ラフに入り、3オン2パット。続く5番はティショットが右のバンカーに捕まり、2打目は出すだけと、立ち上がりから5ホール連続ボギーと最悪のスタートでした。

6番のパー5でようやくバーディを奪った宮里は、「ふーっ」と大きく息を吐いたのですが、この日はそれだけでは終わりませんでした。4オーバーで折り返した後半13番、下りのパーパットを打とうとしてアドレスに入ったところ、ボールが動いてしまい1ペナルティを課せられます。動揺したのか1mのこのパットも外してダブルボギーとしてしまいます。

14番、17番と2つのバーディを取り返してなんとか通算4オーバーでホールアウトしましたが、首位とは11打差の108位タイと大きな出遅れの初日でした。宮里藍は、調子が良すぎて、気持ちが攻めてしまったのではないでしょうか。ボギー先行で取り返そうと無理をして、さらに崩れてしまうという、悪い流れにはまってしまったのでしょう。「いろんなことがあったけど、我慢するところは我慢して、後半2つ取り戻せたのは良かったです」と、前向きさは失いませんでしたが、ツキに見放されていたことも確かでした。

3試合前の「ウェグマンズLPGAチャンピオンシップ」でもアドレス後に球が動いてペナルティがありました。「結構、踏んだり蹴ったりな感じで。一カ月に2回はなかなかないよねってキャディのミックとも話していました」と、悔しい一日を振り返り「明日はもうちょっとスマートなゴルフをしたいです」と、下位からの巻き返しを誓っていました。

予選通過を目指す2日目の宮里はバーディ先行でしたが、後半の11番、12番と最終18番もボギーで、カットラインに2打足らずに「全英女子オープン」では04年以来7年ぶり2度目の予選落ちでした。

予選さえ通っていれば、3日目に追い上げて、最終的には日本人最上位でフィニッシュが可能な内容に感じました。「最後はちょっともったいなかったですね。14番、17番のパー5で獲れなかったのが、予選落ちの原因です」と分析していました。

メジャーというミスの許容範囲が極端に狭い舞台で、前週優勝した自身の好調さに対する過信もあったのかもしれません。それでも、「間違ったことはしていないと思うし、やり続けていれば順番は回ってくると思うので、今はメジャータイトルに対する焦りはありません」と、今年最後のメジャーを総括しています。

大会は世界ランクトップに君臨する「女王」ヤニ・ツェンが今季4勝目を挙げ、大会連覇を果たしました。22歳にしてメジャー5勝の強さは異次元のものでしたが、宮里藍にも可能性は同じだけあるのです。メジャー制覇という大目標に向けて、来年こそ順番が回ってきて欲しいものです。



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