日本がもっと強くなるために
アメリカのメディアやギャラリーが「アメリカン・リョウ・イシカワ」と呼ぶ選手が現れました。カリフォルニア州・マリエッ タ出身、二十歳のリッキー・ファウラーで、PGAツアーのデビュー戦、フォールシリーズ第2戦の「ジャスティン・ティンバーレイク・シュライナーズ・ホス ピタルズ for チルドレン・オープン」で7位タイ、2戦目の「フライズドットコム・オープン」では初日から3日連続でイーグルを奪取し、最終日はホールインワンを決め、 プレーオフに食い込んだ末に2位タイという、なんとも華々しいデビューを飾っています。カミロ・ビジェガスのような風貌のイケメンですが、実はミドルネー ムがあり「リッキー・ユタカ・ファウラー」と日本人の血が入っています。祖父が日本人で、その祖父に連れられて練習場に行ったのがゴルフを始めるきっかけ だったそうで、これから日本でも注目される選手になりそうです。ホールインワンもイーグルですから「4日連続イーグル」ということになりますが、トーナメ ントで1人の選手がパー3,パー4,パー5すべてでイーグルを取った記録は無かったように思います。オクラホマ州立大学を2年で中退後、アマチュア界のラ イダーカップ「ウォーカー・カップ」に出場し、4勝0敗と圧倒的な力を見せた直後にプロに転向しました。アマチュア時代の成績は、2007〜08年、世界 アマチュアランキングで1位。2008年大学ゴルフの最優秀選手賞「ベン・ホーガン・アワード」を史上初めて1年生として受賞。同時に最優秀新人(1年 生)選手に贈られる「フィル・ミケルソン・アワード」も受賞している実力者です。
もう一人、石川遼の次のスター候補、豪州在住のトップジュニア・加賀崎航太君が話題になっています。成田ゴルフ倶楽部で行われたナイキゴルフ主催の 「Inside The Rope(インサイド・ザ・ロープ)」に参加し、タイガー・ウッズと一緒にエキシビションマッチで9ホールをラウンドしました。上海で行われたWGC HSBCチャンピオンズの前の来日とあってタイガーの日本滞在時間は5時間だけだったようです。
加賀崎君は1996年11月11日生の13歳、父の仕事の関係で、3歳でハワイに渡米。6歳からニュージーランドに、9歳からオーストラリアに移住してい ます。8歳の誕生日プレゼントにゴルフクラブをプレゼントされたのがきっかけでゴルフを始め、ゴルフを初めて4ヶ月でホールインワンを達成。その後、試合 中を含め計3度のホールインワンを達成し、タイガー・ウッズの最年少・最多記録を更新しています。ニックネームは「リトル・タイガー KOTA」で、2007年の世界選手権で2位、2008年オーストラリア・ジュニア チャンピオンになっています。将来の目標を「18歳までにUSPGAに入り、20歳までにタイガー・ウッズ選手を倒してメジャータイトルを獲り、大きな日 の丸を揚げること!」と公言する、なんとも頼もしい期待の新星です。
会場には200名を超えるメディア、ゴルフショップの関係者があつまる中、タイガーは試合会場でスタート直前に行う練習を解説付きで披露しました。SWで 始まり、8I、4I、5W、3W、ドライバーの順で打ち、8I、SWと戻し、最終的にはスタートホールで使うクラブで終了、その一部始終をタイガー自身が 事細かに解説。その後9ホールのエキシビションマッチを行い、プライベートジェットで上海に向かいましたが、タイガーは「加賀崎航太はプレー以前に人柄が すばらしい。いくつか彼から積極的に質問してきた。彼は俺の頭の中をのぞこうとしていた。とてもいい質問だった。いい選手だからこそできること」とマッチ の感想を述べました。さらにタイガーは「いつも父にいつもいわれていたことですが、努力すればするだけ結果は出るもの。努力しない者に結果を求める権利は ない」と次世代を背負って立つジュニアゴルファー達に、期待を込めたエールを送っています。
このイベントは、タイガーのスイングに対する考え方を、加賀崎君とのラウンドによって言葉にしていくというもので、ナイキはこのイベントによって、多くのジュニアゴルファーにインスピレーションを与えたいという目的での開催でした。
今回のナイキをはじめ日本のゴルフ用品業界が、ジュニアに注力しはじめたのは、実はここ数年のことです。購買力がない子どもは、顧客になるまで時間がかか る。つまり、投資のわりに回収が難しいというのが最大の理由のようですが「藍ちゃんブーム」や「遼君ブーム」でゴルフに理解を示す親が増えたこともあり、 ジュニアゴルファーへのメーカーの注目度が高まっているようです。
日本高等学校ゴルフ連盟とハワイ州ジュニアゴルフ協会は「第3回USAハワイ・ジャパン ジュニアカップ」の結団式を行いました。この交流戦は日本とハワ イで活躍する13歳から18歳まで合計44名のジュニアゴルファーが、ライダーカップ形式で競い合うというものですが、これまで日本選抜にユニフォームは なく、団結力も強いとはいえなかったため、ヨネックスがウエア・ヘッドギア・キャディバッグなどを協賛し、チームをサポートすることになったようです、こ れも「遼君効果」でしょうか。
米国でもUSGAとPGA・オブ・アメリカが、地域PGAが実施している放課後プログラム(after-school program)を充実させることにより、全米のジュニアゴルファーを拡大すると共に、人生スポーツとしてのゴルフを促進する取り組みを始めています。こ の指導プログラムには、特に強力にジュニアゴルフ育成のインフラを見せてきた、インディアナ、イリノイ、ニュージャージー、北部テキサス、南フロリダ、南 カリフォルニア、ウィスコンシンの全米8地区の地域PGA所属プロ達が参加することが決まっています。プログラムとしては、初年度に43校で参加児童 1,000人以上に達するペースで実施されることになっています。
この放課後プログラムは、週1度か2度、1時間のレッスン4〜6週間実施するもので、その内容は学校、ゴルフコース、YMCAの室内及び屋外で行われま す。PGA所属プロは、ジュニア達に将来のプレーを可能にするための基本的ゴルフ技術、エチケット、ルール、基礎を教ええるための教材として、PGA ファーストスイングやPGAメダリストカリキュラムを使用することが決まっています。
日本でも、石川遼に続くジュニアゴルファーを育てるために、米国と同じような取り組みが必要だと思いますが、韓国に完全に先を越されているようです。10 月29日から11月1日まで、中国・深センのミッションヒルズで行われた「第一回アジア・アマチュア選手権大会」で、韓国のChangWon・Han選手 が優勝し、2010年度マスターズへの招待状を手にしました。同選手は二位となった韓国のEric・Chun選手に5ストロークの差をつける12アンダー で優勝。三位タイにはMeenWhee ・Kim(韓国)、Peter・Burn(ニュージーランド)、Jordan・Sherratt(オーストラリア)各選手が入賞しています。今大会の3位 タイ以上には3名の韓国選手が入賞し、又、全韓国選手が18位以内に入るなど、アジア地域での韓国アマチュア選手の強さが光りました。残念ながら今回出場 した6名の日本選手の最高順位は10位と上位入賞はかないませんでした。マスターズへの出場者を決める試合で、早めにジュニア育成に取り組んできた韓国と の実力差が、はっきりと出てしまいました。日本がアジアのレベルに追いつくには、コーチ育成や協力してくれるゴルフコース等、ジュニア育成のための環境作 りが急務なのは間違いありません。


