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Kankokutei

第3の矢 7月15日号

国内男子メジャーの第2戦「日本ゴルフツアー選手権」が

千葉県の総武カントリークラブで開催されましたが

全米オープンで10位という好成績を収めた松山英樹と

出場すら叶わなかった石川遼の直接対決が話題になりました。

いまだに実績という面では石川が依然として上で、復調の兆しを感じさせての参戦でした。

米ツアー開幕序盤は予選落ちが続いていたのですが、

2年ぶりに決勝ラウンドに進出したマスターズ以降、

石川の状況は好転を見せていました。

連続で予選通過も続き、シーズンの目標であるシード権保持に

期待が持てる内容になっていただけに、石川が底力を見せてくれることを

秘かに期待していたファンも多かったはずです。

 

予選ラウンドで同組になった石川と松山との直接対決で、

いやがうえにも高まった周囲の期待と注目は大会開始早々に萎んでしまいました。

初日2位で滑り出した松山に対し、石川は最下位でスタートし、まさかの予選落ちとなりました。

「日本ツアーを守り立てたい」そんな思いで出場を決めた大会は、

石川にとって自身の置かれた現状を痛感させられる辛い大会となりました。

もともと石川はスピードがありながらも安定したスイングアークを持つ松山に対して

「テレビで見ていて『このスイングをする選手には絶対に飛距離で勝てない』と思って、

悔しさもありました」とライバルのことを語っていました。

初日の対決では、久々に目の前で幾度となく繰り返される

スピード感抜群の理想のスイングに、石川はなすすべもなく

自身のプレーリズムを崩してしまったように感じました。

2日目の終盤、松山はショットのタイミングが合わず、

フィニッシュでクラブから右手が離れてしまうシーンも多かったのですが

「こっちからするとミスショットも悪くない。まっすぐ飛んでいるように見える。

でも英樹のなかでは何かが違うように感じた」と、直接対決を語っていますが、

現状で目指すレベルが違ってしまったことを認識させられ、

松山との差をストローク以上に大きな差として感じていたのではないでしょうか。

さらに石川は「僕の問題点や課題を考えてみたときに

『ああ、英樹はこういう悪いスイングしてないなあ』って思うんです」と、

その違いを冷静に分析もしていました。

今季の石川は、5フィート以内でのパット成功率が全体で180位となる93%でした。

渡米する前から悩まされ続けている「パッティング」の改善が大きな課題となっていましたが

「手先の感覚を養いたい」と、ヘッドが小さくグリップの細い、

扱いの難しいパターを決して変えようとはしませんでした。

そして大会初日も、序盤から1メートル強のショートパットを外し続けて

流れに乗れないという惨状を、ライバルに見せてしまったことが石川に変化を与えた様です。

初日のラウンドを終えると、石川は急にヘッドの大きなパターに変えて練習を始めたのです。

そして、このパターで挑んだ2日目、石川は「65」とライバルの前で爆発して見せたのです。

松山と互角に戦えなかった現実に直面し、自身の立ち位置を客観視できたことで、

石川は何かを掴むことができたのかもしれません。

 

ジュニア時代からお互いに意識してきたライバルが、

いつの間にか自分をしのぐスピードで成長を遂げた姿を目の当たりにして

「2人とも同じルートではないけれど、メジャーで勝つという目指すものは変わらない。

英樹の結果に刺激を受けるというのではなくて、

存在そのものが僕の中で大きい」と語っていましたが、

次回の直接対決が楽しみになりました。

 

そしてこのメジャー大会は23歳の期待の新鋭が制しました。

優勝した小平智は自身3度目の最終日最終組でしたが、

2位に1打差の単独首位から「70」で回り、通算14アンダーで逃げ切り勝利。

僅差の争いが続いた「サンデーバックナイン」を制し、

ツアー初勝利をメジャータイトルで飾りました。

通算13アンダーの2位タイに、S.K.ホと、タイのキラデク・アフィバーンラトが入り、

通算12アンダーの単独4位にS.J.パクとアジア勢が上位を占めましたが、

首位に7打差の21位タイからスタートした松山は8バーディを量産するなど、

この日のベストスコア「67」をマーク。通算10アンダーの7位タイに浮上して4日間を終えました。

 

小平は課題としていた「パッティング」についても「今年はアジアンツアーのQTや、

全英オープンの予選会に出場して、早くから試合勘を得るために色々やってきた」と、

オフの時期の取り組みが結果を残したということでしょう。

昨年の「PGA・JGTOチャレンジ」を含め下部のチャレンジツアーでは既に2勝を挙げています。

しかし「川村や松山、浅地みんなアジア大会でも一緒だったメンバー。

早く追いつかないといけない」と、日本代表として戦ってきた同世代より

一足早くメジャーチャンプとなりました。

小平は6番までに4つのバーディを奪い順調にスコアを伸ばしたのですが、

7番パー3でティショットを池に入れてダブルボギーを叩き9番もボギーと、

この時点で追い上げてきたK・アフィバーンラトに並ばれてしまいます。

「スタートから特別な緊張感は無かったのですが、あのダボで緊張し始めました」と

話す小平ですが表情にはまったく出さず、その後も攻めのゴルフに徹しました。

10番のパー5でイーグルを奪い抜け出しますが、11番のボギー以降は

チャンスにつけることが出来ず、終盤にはS.K.ホと通算14アンダーでの首位併走と

緊迫した優勝争いが続きましたが、勝負の分かれ目は17番でした。

1つ前の組でラウンドするS・K・ホがティショットを左ラフに入れて2打目をレイアップ。

結果3オン2パットで13アンダーに一歩後退。

対する小平もティショットは左サイドの深いラフへ。

その2打目地点にたどり着いた小平は、ボールのライを上から確認し、

攻めの9番アイアンを選択したのです。

「正直、初日のショットが頭に浮かびましたよ。でも、S.Kさんと並んでいると思ったので、

レイアップは考えませんでした。初日は芝が濡れていて、池に入れてしまいましたが、

今日は芝が乾いていたので、気合いで打ちました」と、

初日に同じような状況からダブルボギーにしてしまったホールで、

渾身の力を込めて放ったショットがグリーンをとらえたのです。

初日に16番を終え6アンダーのトップで迎えた17番、

最終日と同じ様な状況から池に打ち込みダブルボギーとし、

最終18番もダブルボギーで25位まで順位を落とした夜

「自分にムカついて、このままでは終われない」と、

悔しさを晴らすため宿舎の近くをジョギングして気合いを入れなおしたそうですが、

その強い想いが感じられるスイングでした。

グリーンに上がった時点で自分が単独首位に立ったことを把握すると、

2パットのパーで切り抜け、最終18番も2オンに成功して、

5メートルのバーディパットは打ちきれずに苦笑いを浮かべたものの、

1メートルのパーパットをしっかりと決めて見せたのです。

S・K・ホは3日目を終えたところで「このコースはトップであの位置を守るよりも、

1歩引いて攻めていく方がいい」と話していました。

その言葉通り最終組の一組前でプレーし、スタートでバーディを奪うなど攻めのゴルフを見せ、

12番までに3つスコアを伸ばして首位タイに並びかけるなど

まさに狙い通りの展開に持ちこみ、若い小平をとらえたかの様に思われました。

しかし12番以降はバーディを奪えず17番ではボギーを叩いて首位の座から転落。

結局優勝には1打届きませんでした。

S・K・ホは敗因として「4番ホールの3パットでのボギー」を挙げています。

またK・アフィバーンラトも序盤から小平とバーディ合戦を繰り広げるなど

積極的なゴルフを展開し、12番を終えた時点ではこちらも首位タイに並びかけましたが

13番、15番のボギーで失速。飛距離のアドバンテージを生かして、

17番でバーディを奪いますが、結局優勝には1打届きませんでした。

K・アフィバーンラトも敗因として「13番ホール、3パットのボギー」を挙げています。

15番ホールもボギーとしましたが、これは13番のボギーを取り戻そうと

ショットで攻めた結果でした。1つのイーグルと3つのバーディを奪うなど、

良いゴルフを展開していただけに「勝負どころでの3パット」が

勝敗に大きく影響を与えました。

 

「10アンダーを目指しました」と語っていた松山は、

スタートホールで4メートルのバーディパットを沈めると、

そこから怒涛の4連続バーディとギャラリーを沸かせます。

5番ではセカンドをスタンスの取りにくいバンカーに入れるピンチを招いたものの、

ここを見事にパーセーブ。続く6番ロングホールでもほぼ2オンに成功し難なくバーディと

わずか6ホールでスコアを10アンダーまで伸ばし優勝戦線に浮上して見せたのです。

7番8番とパーを重ねて迎えた9番ホールでは、セカンドのクラブチョイスを間違え

グリーンオーバー。このホールボギーとして一歩後退しますが、

続く10番ロングできっちりバーディ。

さらに12番ホールでも7メートルのバーディパットを沈めて

トータルスコアを11アンダーまで伸ばしたのですが、

13番ショートホールで3メートル下りのバーディパットをオーバーして3パットと、

大事な局面で痛いボギーを叩いてしまいました。

松山自身も「流れを止めてしまった」とこのホールの3パットを悔やんでいました。

その後は何としてもバーディを取りたい15番ロングで、

ティショットのミスからボギーとしてしまうなど、

流れが悪くなり9アンダーまでスコアを落とします。

しかし「12、13アンダーくらいまでいければ…」と最後の望みをかけて

16番でピンを挿すスーパーショットでバーディを奪い

10アンダーに戻しましたが、残り2ホールはパーでホールアウト。

メジャーの舞台、特に「サンデーバックナイン」という勝負どころでの3パットは、勝敗を左右します。

2008年「日本アマチュアゴルフ選手権競技」で2位になった小平は、

09、10年とナショナルチームで日本の代表選手として活躍しています。

10年にはアマチュアとして出場したJGTOチャレンジツアー

「鳩山カントリークラブ・GMAチャレンジトーナメント」で優勝を果たすと、

大学を2年間で中退しプロ転向と、期待の持てる逸材でしたが「パッティング」が課題でした。

デビュー初年度は13試合に出場し6試合で予選落ち。

自身の最終戦「カシオワールドオープン」では3位で3日目を終え、

初の最終日最終組を経験したのですが、優勝すればもちろん、

単独2位に入っても翌年のシード権獲得という状況に、

最終日はスコアを1つ落として11位タイに脱落し、

シーズン終了後に行われる6日間競技のQTに進むことになりました。

QTは18位で通過し、12年もレギュラーツアーを主戦場とすることになったのですが、

10試合で決勝ラウンドに進出したものの優勝争いに絡むことなく、

再びQTに挑戦することになりました。

前年を下回る24位でなんとかレギュラーツアーへの道をつなぎ

「もうクオリファイには出たくない。この6日間競技は精神的にも辛いです」と語っています。

小平がツアーで戦うモチベーションを維持してきたのはライバルの存在だったといいます。

ジュニア時代から同学年で戦ってきた薗田峻輔や藤本佳則が、

プロ転向後すぐにツアー優勝を果たし、2学年下の石川は賞金王を獲得。

さらに米ツアーに本格参戦と遠い存在となりましたが

「あいつらに出来るんだから、自分にも出来る」と、今シーズンを迎えていました。

オフから体力を強化すべくトレーニングを続け、

試合が終わった夜もランニングを行い飛距離アップへの筋力強化を図っているといいます。

ドライバーの飛距離は安定して300ヤード近くになり、方向性もアップ。

飛距離とフェアウェイをとらえるトータルドライビングの部門では

ツアーで1、2位を争うほどに成長しています。

今シーズンの小平は、開幕戦で13位タイに入ると、

2戦目は62位タイでしたが、今季メジャー初戦

「日本プロゴルフ選手権大会・日清カップヌードル杯」で単独5位。

さらに「ダイヤモンドカップゴルフ」で6位タイに入るなど好調を維持して今大会を迎えていました。

「過去に追われる立場で最終日を迎えたことはありませんが、

こんなチャンスはないので優勝したい」と、メジャー大会でのツアー初優勝を目指して挑み、

スコアを2つ伸ばして苦しく辛い「サンデーバックナイン」を逃げ切って勝利を掴みましたが、

2勝目も近そうに思います。

 

11年の2月、タイトリストと用品契約を結んだ小平は、

PGAツアーの見学をするために「ノーザントラストオープン」の会場に姿を見せていました。

世界最高峰の舞台で戦う選手たちのスイングを見つめていた21歳の青年は

「すごいですね、いつかこの舞台でゴルフがしたいです」と目をキラキラ輝かせていたそうですが、

この大会での勝利で飛び込んできた米国男子「WGCブリヂストンインビテーショナル」の出場資格、

さらに「全英オープン」と、海外での試合出場を自力で獲得してみせたのです。

「プロとしてゴルフをするからには、憧れの舞台ですから、自分がどこまで通用するか、

力いっぱい試してきたい」と抱負を語っていますが、

石川、松山、小平のメジャーでの優勝争いが見てみたいものです。

大器であることは間違いない薗田俊輔や宮里優作も触発されて活躍すると

「チームジャパン」として、日本の男子ツアーにも大きく期待が膨らみます。



 



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