間違いだらけの?
新年あけましておめでとうございます
このコラムも早いもので35回目になります、2007年の新製品がそろそろ話題になってきています。このコラムが読者の皆様のクラブ選びの手助けになればと思います。
30年前に徳大寺有恒氏が出版した「間違いだらけの車選び」という本をカーマニアの方ならご存知かと思います。国産車と輸入車の差異を日本と欧米では車文 化が違うという視点から論じ、歯に衣着せない鋭い批評は説得力がありました、たとえば『コロナ=平凡さがとりえだが、エンジンが弱いのが泣きどころ/カ ローラ=可もなく不可もないクルマの代表/セドリック=俗悪趣味の傑作車/バイオレット=こんなクルマでも買う人がいるから不思議/シビック=見せかけだ けの新しさではすぐ飽きがくる/ファミリアプレスト=古くさいだけだ』なんとも痛快な切り口ですね。
業界内の仁義を無視するような本を出版したことに対し、当時の自動車業界からの反発は非常に大きかったようです、そして「この徳大寺という人物は自動車ジャーナリズムの世界から追放しよう」という声まで聞こえてくるようになっていたそうです。
2006年の1月に「間違いだらけの車選び最終版」が発売されました、30年も続いていたことは知りませんでしたが、私も新車を買う時には必ず読んで参考にしていました。
徳大寺氏の本のタイトルをそっくりまねしたクラブ選びの本が、毎年出版されています。
あるプロゴルファーがヘッドスピード別、スイング軌道別、フェースの向き別に合計45パターンで打ち分け10項目を10点満点で採点して評価しているので すが、データを取り評価するとなると、1パターン最低5球から10球の試打が必要ではないでしょうか。1モデル45パターンで試打すると225〜450球 となり、100モデルでは22,500〜45,000球の試打が必要になります。なんとも時間のかかる大仕事で私ならとてもする気になりません。
一番の問題点は「日本カー・オブ・ザ・イヤー」のような「ゴルフクラブ・オブ・ザ・イヤー」を決定していることです。選ばれたメーカーは受賞したことを、ゴルフ雑誌やスポーツ新聞の広告ですごい快挙を成し遂げたかのようにアピールします。
この賞を決めているのはたった一人のプロゴルファーです、誠心誠意テストしているとしても「年間グランプリ」にどんな意味があるのでしょうか。
日本に根付いているメーカーとマスコミの癒着や、いろいろな思惑が絡み合った裏取引の可能性も否定できないのではないでしょうか。
メーカーは「年間グランプリ=名器」をアピールしますが、たとえどんな名器でも使うゴルファーにとっては最悪のクラブになることも多いのです。
「間違いだらけ」の本家本元の徳大寺氏は著書のなかで「カー・オブ・ザ・イヤー」を選ぶことはしていません。
まず自分の価値観を述べ、この車はこんな価値観を持っている人に乗って欲しいと結論づけています。
すべての人に合う最優秀の車もゴルフクラブもあるはずがないのです。どんなクラブも、慣れてしまえばそれなりに打てるものです。しかし、たまに他人のクラ ブを借りて打ってみると、なんと良く飛びしかも曲がらない、ということがままありメーカーの派手な広告や評判を鵜呑みにして、間違った買い物をしたことに 気付くのではないでしょうか。
そしてまた自分にあったクラブ探しをはじめた時に見聞きしたインパクトの強い情報を信じて安易に買い換えてはいませんか。
メーカーはクラブスペックの公開に積極的ではありません、クラブに張ってあるシールには長さとロフト角が表記されている程度で、細かいスペックをカタログ に載せていないメーカーもたくさんあります。パソコンの場合はメモリーやCPU処理能力等のデータをみれば大体の性能は判断できます。もちろん世界統一の 基準に基づいた表記になっています。
しかしゴルフクラブには長さの計り方、シャフトの硬さなど大事なデータに統一基準がありません。
すべてのメーカーの測定基準が違うため、A社のSシャフトよりB社のRシャフトのほうが硬いということが起こるのです。
メーカーの派手な広告には「このクラブはこんなゴルファーに合っていて、こんなゴルファーには合いません」とは絶対に書いてありません。
メーカーは「こんなゴルファーが使うだろう」と考えてクラブを開発するのですが、いざ販売するとなると購買者が限定されるのを嫌って、対象ゴルファーを曖昧にする傾向があります。
自分に合ったやさしいクラブ、ゴルフが楽しめるクラブを探すためには、クラブの性能を決める基本的なスペックを知る必要があります。


