2009年 マスターズ
2009マスターズで私の最大の注目は今田竜二でした。
今までの日本人選手とは違い、アメリカンドリームを実現させての出場でした。本人が夢にまで見たマスターズの舞台を、実力で勝ち取ったのです。
中学生で渡米し、ジョージア大に進んだ今田にとっては「地元」です。マスターズを意識した大学選択だったのではないでしょうか。4月のアーノルド・パーマー招待の最終日、一つでも上を狙って攻める姿勢はマスターズでの活躍を予感させてくれました。
残念なのがゲーリー・プレーヤーの「マスターズ」引退でした、マスターズで過去3度の優勝を誇るプレーヤーが最初にオーガスタでプレーしたのは1957年で彼が21歳の時でした。
昨年、アーノルド・パーマーが持っていた50回を上回る51回のマスターズ最多出場記録を更新したのですが、52回の出場でその記録は途切れることとなりました。
「73歳にこのコースはあまりに長過ぎる」というのが決断の理由でした。以前のようにバーディ合戦のセッティングではなく07年の優勝スコアは1オーバー、08優勝のトレバー・イメルマンの最終日は75と全米オープン並みとロースコアになった最近の「マスターズ」。
コースセッティングの難しさが引退を決意させたのなら、明るく・華やかなメジャー「マスターズ」の魅力半減ですね。やはり「マスターズ」は13番・15番でのイーグルがポイントになるような展開にならないと盛り上がりません。
今田竜二のコラムが、アメリカのスポーツサイトESPN.comに連日UPされていました。
コラムの中で今田は「私の初マスターズでの経験を綴っていきます。この場にいれることに誰よりも興奮しています。14歳の時、夢を追いかけるために日本か らアメリカに来ました。 ゴルフがうまくなりたい、上を目指したいと思うきっけかになったのは日本で見ていたマスターズでした。私は、ジョージア大学に進学し、幸運にも在学中に二 度オーガスタ・ナショナルでプレーする機会がありました。その時、このコースが好きになりました、世界中のコースで一番好きです。昨シーズンの AT&Tクラシックで優勝して今年のマスターズの出場権を獲得したのですが、あのプレーオフを勝った時にまず脳裏をよぎったのがマスターズから招 待状が来るということでした」と出場の喜びを述べています。
「初めてのマスターズに向けての準備は、昨年の11月に始めました。その時36ホールをプレーしました。大学生の時にプレーしていましたが、コース自体大 きく変わっているのは分かっていたので早めに下見をしておきたかったのです。まずはコース全体を把握し、ティショットで構えた時の視界など慣れておきたい 部分があったのです。」
マスターズルーキーとして、なるべく多くのことを吸収しようとWGC・CA選手権直前にも再びオーガスタに来て2日間プレーしたようです。
07年全米オープンに続く2度目のメジャー制覇を果たしたアンヘル・カブレラも「前回の全米オープン優勝で自信を得た。今回は、いい準備ができた結果」とインタビューに答えました。
小学校卒業後、キャディを務めながらプロになった苦労人が、メジャー2勝目を上げ、母国アルゼンチンの英雄、マラドーナ級の評価を得たようです。
2007年の全米オープンで勝ったカブレラはそれに浮かれることなく恵まれない子供たちへのチャリティーなどを一生懸命やり、ゴルフで成功したことを社会に還元し、尊敬される存在になっています。
カブレラはヘビースモーカーで、ラウンド中も煙草を吸っていました。煙草を絶ち、禁煙者に生まれ変わったことも「優勝のための準備」のひとつだったのでしょう。
急なスイング改造で臨んだ石川遼は、明らかに準備に失敗したことになります。
石川は表情が堅く、緊張の中でのプレーでした。初参加では当然のことでしょうが、石川らしいプレーをさせてもらえなかったようです。
ゴルフ人生で「経験しなくてはいけない経験」を17歳で体験できたことに感謝し、練習を重ね、さらに上を目指して欲しいですね。
やはり決めなくてはいけないパットが入っていませんでした。その流れの中で耐えて・耐えて、もう少しで予選通過というところまでこぎつけたことは評価に値すると思います。
片山晋吾は準備がすべてプラスに働き、本人がイメージしていた「最高のパフォーマンス」を、今回のマスターズで発揮できたのではないでしょうか。
片山は以前から練習熱心で知られています、不思議な練習ギアをあれこれ使うことも有名ですね。1月にマスターズの招待状を受け取ってから「この3〜4カ 月、異常なほどいろいろな練習をやってきた」と語っています。昨年、予選落ちの絶望感をバネに、日本人最高位を勝ち取ったのは見事でした。
最終日終了後のブログから、今田の感想をまとめてみました。
「僕の初めてのマスターズが無事に終わりましたが正直なところ疲れました。最後にやっとパッティングの調子が上がり、良いラウンドができたと思います。 トータル2アンダーの20位タイでホールアウトしました。まだまだ決められるパットがあり、結果に満足しているかと言ったらそうでもありません。それでも ティショットは狙い通りのところに落とせたし、1週間通して毎ホール、スコアを伸ばすチャンスを作れました。ショットを上手くコントロールできていたの で、ダブルボギーが一つもありませんでした。僕の目標はトップ16に入ってまた来年ここに戻ってくることでした。最低でも4アンダー、何とかして5アン ダーまで伸ばすことができれば来年の出場権は確定できると思っていました。しかしひたすらアグレッシブに攻めてリスキーなゴルフをすれば良いというもので はないことは、これまでのメジャーの経験で分かっていました。もっと良い成績を残したかったと思いますが、客観的に今週起きたことを振り返ることも必要だ と思っています。2日目、最後に2メートルのパーパットを外していれば、最後の2日間はプレーできなかったのです。全てのショットで神経を使わなければい けないシチュエーションは、マスターズ独特のものです。オーガスタを攻略するのは、チェスの試合のようでした。ワンショットが次のチャレンジにつながり、 一手でもミスを犯すと、その代償は非情にも大きなものになります。このコースでもいいスコアを出せると思っています。だからといって「マスターズを勝つ」 と約束はできません。しかしいくつかのパットがいい方に転がってくれて、そしてもう少しコースに慣れれば、僕のプロ生活が終わるまでにはここで優勝争いで きると思います。」
新しい目標が定まったようです、これからの今田の活躍に期待が持てるコメントですね。
目標に立ち向かう時「準備」がどれほど大切なものなのかを、改めて感じさせられたマスターズでした。


