9月15日 2019年
2017年8月「WGCブリヂストン招待」での
PGAツアー5勝目を最後に、
松山英樹はタイトルに恵まれないまま2年が経過しています。
しかしポイントランク上位30人で争う
最終戦「ツアー選手権」には6年連続で進出ました。
2018-19年シーズンは24試合に出場しましたが、
昨夏から続いた25試合連続の予選通過記録は
7月「全英オープン」でストップしています。
しかし決勝ラウンドを戦えなかったのは
わずか2試合という内容です。
もともと松山は予選落ちが少なく、
昨年も3回だけと高い安定感を保っていますが
「ぜんぜん違います。今年の方が良かったと思う」と、
自身が感じるレベルの違いを語りました。
松山の言葉を裏付けるのは平均ストロークで
「69.841」と2年ぶりに60台を記録し、
ツアー全体で12位でした。
好スコアの支えになったグリーンに到達するまでの指標
「ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン」が
全体3位の「+1.487」で、
ツアー参戦以後ベストの数値を残しています。
パーオン率の20位(69.38%)は、3勝を挙げた
2016-17年に次ぐ数字でした。
パーオンを逃した時にボギー以上を
回避するスクランブリング率も12位(64.12%)と
高水準の数値でした。
松山が6勝目への兆しを見せたのが、
実力者が集う「プレーオフシリーズ」でした。
第2戦「BMW選手権」そして「ツアー選手権」では
直近8ラウンドのうち3ラウンドで
フィールドのベストスコアをマークし
「ここ2試合でつかんだものある」と語っています。
間もなく始まる19-20年シーズンで勝つために
「あとはティショットの精度とパッティング」と、
明確になった課題に取り組むということです。
昨年の松山は「優勝争いをした」という
実感がまるでなかったということでしたが、
今年の「ザ・メモリアルトーナメント」で
首位に4打差3位で迎える最終日前夜に、
緊張感から来る体調の異変を感じ取ったといいます。
「寝る前から体温が高かった。
部屋の温度はいつも一緒なのに『ちょっと暑いな』と。
起きてからも同じで、久々にこういうのがあるのかなと」
優勝争いからくるプレッシャーを感じたといます。
プレーオフ第2戦「BMW選手権」では、
単独首位で迎えた3日目に最終組でのラウンドで
後退しましたが「2サムで優勝争いをしている時の
プレーのスピードに長らく慣れてなかった。
そういうところでのプレーを
もっと増やさないといけない」と、
いつものようなプレーが出来なかったことを
反省していました。
松山の最終ラウンドの平均スコアは「70.0」で
60位にとどまりました。
直近2年は18年「68.38(2位)」、
17年「68.78(4位)」と、
最終日に結果を出しており、
最終日の精度の高さを取り戻すことが勝利に繋がります。
スイングに関して松山は
「昔とはまたぜんぜん違うスイング」を追い求めていますが、
最後の2試合で松山は、ポロシャツのボタンを2つとめずに、
首もとを大きく開けてプレーしていました。
「見た目を考えると締めておきたいんですけどね。
昔良かった時は締めてなかったんですよ。
ゲンを担ぐわけじゃないんだけど、
基本的には開いている方が僕はいいみたい。
勝手な思い込みかもしれない。
でも、気持ちがやっぱり違うんだろうなって」と、
勝利のために感じたことは取り入れて、
さらにはメジャータイトルへと飛躍してもらいたいものです。
石川遼が、3シーズンぶりの優勝を飾った
「日本プロ選手権」から1カ月半。
「セガ・サミーカップ」では4打差をつける
完勝を挙げました。2大会連続でタイトルを手にし、
最終組で大ギャラリーの歓声に包まれる姿は、
常勝を誇った頃を彷彿させるものでした。
賞金ランキングでも8年ぶりにトップに立ち、
再びツアーの中心に戻ってきた事を
確信する勝利となりました。
以前の自身と向き合い「変わってきたところ」と話すのが、
アイアンショットの精度の向上でした。
「安定してプレーできるようになった。
若いころはパー3が苦手だったけれど、
アイアンの精度が2009年から変わってきた。
今が人生で一番いい状態にある」と、
パー3での内容を比較していますが、
データを見ると2009年(22試合)の
パー3でのバーディ率は0.14で、
年間の累計スコアは通算15オーバー。
対して今季(6試合)はツアートップの0.25で、
累計スコアは通算10アンダーを記録しています。
PGAツアー参戦時には、パワーで大きく劣る
海外選手との差を埋めるため、
ドライバーの飛距離を追い求め不調に陥りました。
そこで最近はアイアンショットの精度にこだわり、
スピンコントロールへの意識を強め
練習に取り組みましたが、
その成果を実感する1打も多くなっています。
すべては2017年を最後に撤退した
PGAツアーに再挑戦するため、
さらに「東京五輪」をも見据えた取り組みです。
負荷をかけた筋力トレーニングにより、
繰り返し起こった腰痛の不安も消えたということです。
石川は「2009年以降、海外に出ていなければ
今の自分の技術はなかったと思う。
ドライバーだけはずっと良かったかもしれないけれど、
一辺倒の攻めだけになっていたかもしれない。
気持ち的にも身体的にも、根本的に考えていることは
09年とはぜんぜん違う」と、まだ6試合を終えた段階ながら、
今季のバーディ率は2009年を上回る4.90をマーク。
海外での苦しい経験を経て、
10年前とは異なるプレースタイルが確立されています。
「全英女子オープン」を制し、
帰国後も体調に不安を抱えた状態で13位、3位、5位と
成績を残している渋野日向子ですが、
今年の平均パット数は1,75でトップです。
平均バーディ数やパーブレーク率もトップですが、
好調のパッティングが渋野のゴルフを支えています。
コーチの青木氏はまず、
渋野のパターをマレット型からピン型に変えさせてました。
渋野はフォローでフェースが
開きながら外に抜けるクセがあったため、
ヘッドの慣性モーメントが大きく操作しづらい
マレット型から操作性の高いピン型に変えさせたのです。
意識的にフェースを閉じたフォローをすることで
イントゥインのストロークとなり、
球の回転と方向性が飛躍的によくなりました。
そしてもう一つ大きな効果を発揮したのが
2種類の「ドリル」です。
スタート前に7m以上の3か所からカップを中心とした
1mの円の中に3球ずつ入れる
ロングパットの練習をするドリルです。
カップに入れることを目的とせず、
その日の距離感の基準を作るための練習で、
基本的にはできるだけフラットなストレートラインを
7、12、15mから打つのですが、
機械的にならないために、
距離やライなど毎日少しずつ変えるそうです。
フィーリングを養うことが目的のドリルで、
ホールアウト後にはこの練習はやらないということです。
ホールアウト後に練習するドリルは、
カップから1mの距離にティを立て1.5m、
3mといった具合にカップに対して
徐々に距離を伸ばしながら円を描くように
9本のティを刺します。
7本決まれば終わり。
仮に3本目を外せば、その瞬間、
ゼロからやり直すというドリルです。
距離も一打毎に変わり、
さらに様々な傾斜からのパットとなり、
狙ったところに打てるようになることが目的です。
9分の7以上を1パットで決めることを義務づけることで、
プレッシャーに強くなり、
さらに9か所の傾斜の違ったラインから打つために
「ストロークより出球」を意識することになり、
プレッシャーの中でも狙ったところに
打てるようになるということです。
読者の皆さんも試してみる価値はありそうですね。