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Kankokutei

7月1日号掲載

「全米オープン」の初日、ロリー・マキロイは6バーディ、ノーボギーで「マスターズ」に続き、メジャーでの首位発進を果たしました。メジャー初日の最小スコア記録も7アンダーで「2010・全英」のR・マキロイが記録しています。初日に3打差以上をつけたのは、1976年大会以来35年ぶりだそうです。過去3打リードは8人いましたが、優勝したのはベン・ホーガンだけでした。R・マキロイは「全英」と「マスターズ」の雪辱を果たし、見事に初日からの完全優勝を飾りましたが、これで今年に入ってからのメジャー8ラウンドのうち、7ラウンドが首位だったことになります。

 

それにしてもコングレッショナルC.C10番のパー3は難しいホールでした。池越えの218ヤードで手前に花道は無く、ショートすると間違いなく池に落ちます。奥に逃げるとバンカーがあり、池に向かって下りの度胸試しのバンカーショットが待っています。150ヤード程度なら問題ないでしょうが、200ヤードを超えて手前にバンカーか花道が無いのは、アンフェアなホールといえます。石川の初日はその10番スタートでいきなり池に入れダブルボギースタートでした。メジャーの初日、1番からプレーしてきてこの10番を迎えるのと、いきなりこのホールからスタートとはプレッシャーがぜんぜん違います。石川は連続ボギーとした8、9番の上がりももったいなく3オーバー62位タイでのスタートとなりました。

 

単独首位からスタートしたロリー・マキロイが2日目も「66」と2位以下に6打差をつける通算11アンダーで独走態勢に入りました。36ホールでの131ストロークは、全米オープン史上最少ストローク記録となりました。石川の2日目は1番からのスタート。その第2打をピンそばにつけバーディを奪う幸先のいいスタートでした。1つスコアを伸ばして迎えた後半は、ドライバーショットが左右に曲がり苦しい展開でしたが、勝負所の17番で残り167ヤードの第2打を8Iでピンそば2mに寄せバーディを奪うと、最終18番もパーで締め、5バーディ、4ボギーの「70」でまとめ、昨年大会に続いて予選を通過しました。

 

3日目の石川は上がり4ホールを1バーディ3ボギーとするなど終盤に崩れ、この日は2バーディ5ボギーの「74」、通算5オーバーとスコアを落としました。石川の失速の原因はなんでしょう?今年のマスターズ、昨年の全米オープンも3日目に失速してしまいました。マスターズ3度目の挑戦で初めて予選を突破し、20位という成績を残しましたが石川は、予選クリアという目標を達成し、さぁ3日目から上位に食い込んでいこう、というときに戦い方に迷いが生じたと語っています。そしてその結果、「消極的なゴルフをしてしまった」ことが、後悔の念として離れず、そのことがずっと頭に残っているということでした。

「他のプレーヤー達からは、『まだまだ上位に行くんだ』という強い気持ちが伝わってきました。攻めていないと思える選手でも、ちゃんと攻めている。これが、ムービング・サタデーと呼ばれる3日目特有のものなのかと思いました。残り2日間でトップと10打差ぐらいあっても、誰もが決して諦めていない選手ばかり。それに比べて、僕の3日目は、消極的なゴルフがすごく露呈されたと思います」と語っています。ではなぜ、石川はマスターズの3日目に攻めることができなかったのでしょうか?「気持ち的にギアチェンジできなかったんです。スコアを落としたくないという気持ちと、攻めなければという気持ちが中途半端になってしまって、結果的に今までと同じように、という気持ちになってしまったのだと思う」石川の言う「今まで…」とは、予選2日間のゲーム運びのことです。初めての決勝ラウンドで石川は、丁寧に大事に、というゴルフになってしまったのでしょう。

今回の石川のコメントは「オーガスタでは3日目に攻められなかった、でも今日は攻めることはできました。攻めた結果だけど技術が無かった」と自己分析しています。「前下がり(つま先さがり)からドローを打つのはミドルアイアンならコントロールできたと思うけど、ロングアイアンでは技術が足りなかった」と9番の第2打を悔やんでいます「もうちょっとだと思います。初日のリベンジを2日目にできたように、今日のリベンジを明日できるようにしたい」と最終日に期待を持たせるコメントでした。

 

9番のセカンドが、波に乗り切れない石川の近況を象徴しています。完璧なティショットから、2打目でスーパーショットが出れば、一気に上位進出ができる場面でした。最近、ここ一番で力が発揮できないのは何故でしょうか?ロイヤルトロフィーで見ていて、周りに気を配り過ぎるやさしさが、小さなことに過剰な反応をすることにならなければと心配していました。石川を守る仕事を託されたスタッフは、任務遂行のためとはいえ結局は石川を孤立させてしまう「取り巻き」になる恐れもあります。自分のために、たくさんの人達がサポートしてくれていることが、石川の重荷になっているように思うのですが。

 

周囲に気を遣いながら結果を出さなくてはならない日本より、自分のゴルフに集中できるアメリカに主戦場を移すタイミングは、今がベストのように思います。今回の活躍でキム・キョンテもPGAツアー参戦を表明しそうです。K・J・チョイやY・E・ヤンという先輩が活躍している強みもありますし、今回はY・E・ヤン、キム・キョンテ、ノ・スンヨル、キム・ドフン、べ・サンムン、S・H・カンと6人が決勝に残りました。日本人の先輩がいないのは寂しいですが、アジアチームとして、韓国チームと一緒に行動する選択肢もあると思います。石川には同業者(プロゴルファー)をも驚かせる能力がありますし、先輩に可愛がられる人間性も大きな魅力です。

3日目にとスコアを落とした石川は「昨日のことがあったので、切れた感じは持ちたくなかったし、開き直ってやりたくもなかった。この順位からのスタートというのはやっぱり3日目が悔やまれると思う」と自己分析していました。アイアンショットの際に 「右手首の角度を変えないこと」をポイントにしていたようですが、最終日に「ようやくできた」とまだスイングも改造中のようです。4番6m、5番50cm、8番3m、さらにインに入っても14番1.5m、15番5m、17番3mとショットをピンに絡めて奪った6バーディが、本来の「石川のゴルフ」のように思います。

「1日6つのバーディを獲れたのは、思っていたよりはるかにやれた。できたなという気持ちが大きいです」と、2度目の全米オープンでメジャーでも戦える自信が持てたようです。日本では、勝負どころで決めきれない印象のパッティングは、復調気配に見えました。「ストロークは何も変えていなくて、集中力とタイミングが重要だと思い知らされた。日本でどう集中力を持ってこの一打を打つのかを帰って考えたい」と語っていますが、日本では神経質になり過ぎ、集中させてもらえない「周囲の環境」のほうが心配です。30位タイで4日間の戦いを終えた石川は「マスターズ」の20位タイに続き、着実にメジャーで通用する安定感を身に付けてきています。

 

次元の違うプレーで独走を続け、メジャー初制覇を遂げたR・マキロイは「少しでも集中力が切れたり、ミスショットをすれば一瞬にして数打失うのが全米。ミスを最小限におさえた選手が勝つと思っていました。大会に向けての準備もよかったし、大会に入る前から良いゴルフができる予感はしていた」と語っていました。これでR・マキロイのメジャーでの成績は、過去10度の挑戦でトップ10入りが4回、2010年の「全英オープン」「全米プロ」で3位タイに入ると、今年の「マスターズ」では3日間首位でした。最終日に崩れて15位タイに終わっていますが、その時のインタビューで嫌な顔一つせずに「勝つために負けなくてはならない」との名言を残し「グッドルーザー」として話題になりました。「マスターズ最終日の悪夢」から、次のメジャーですぐに結果を残したのは凄いことです。

この大会前はUNICEFの親善大使としてハイチを訪れ、昨年起きた大地震の被害者を励ましています。「ハイチに行っていろんなこと、人生についても改めて考えさせられた。真剣になり過ぎてもダメだし、常に上を求めるだけの生き方がすべてではないと、地球上の大半の人は僕の仕事ができるなら交代したいと思うでしょう。そういう意味では、すごく恵まれた環境で生きることができている。プレーしている時もその想いが脳裏にあれば、最後がダボだろうが何だろうが、一日の最後にはあまり重要なことではないんです」と心境の変化を語っていました。

 

7オーバー54位タイという成績で競技を終えたフィル・ミケルソンは「これから全英に向けて、もっとしっかりと準備をすることになると思います。これからいくつか大きな大会があります。全英、全米プロそしてFEDEXカップと続きますが、私はまず2週間、練習を積んでヨーロッパに行きます」と「全英」に照準を合わせて調整すると語りました。ロリー・マキロイは「全英」までの試合をキャンセルして、準備することを表明しています。

私はブログでもコラムでも「準備が重要」と述べてきました。石川は日本に帰って試合に出なくてはいけません。あのP・ミケルソンが「全英」のための練習を2週間するというのです。石川にも同じ準備をさせてあげたいですが、日本ツアー主戦では無理ですね。少なくとも前週の「スコティッシュオープン」から出場する準備が必要だと思います。

R・マキロイは今年中に世界ナンバー1になりそうです。マスターズに次いで2位の同年代のジェイソン・デイもさらなる成長を遂げそうです。石川がメジャーを制するには、いつも彼らと同じステージで戦わなくてはいけない時期に来ています。



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